千曲川源流から甲武信岳周回

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■山行日:2022年06月26日
■山:甲武信岳
■目的:千曲川源流
■ルート:毛木平(05:30)ー甲武信岳(10:50)ー十文字小屋(12:30)ー毛木平(13:40)

初夏の頃になると毎年歩きたくなる尾瀬エリアは昼前から崩れる予報
次なる候補の越後も怪しい空模様(結局は晴れていたけど)
天気予報がバッチりな山しか行かない派としては、どこへ行くべきか
ん?奥秩父は晴れなんだ、そうか、じゃ甲武信岳だ、千曲川の源流を遡ろう




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深夜の中央道は長坂で降りると、真っ暗な国道をくねくね進む
何キロ進んだだろうか、山の裾野に向かっている感じを覚えた頃
カーブを回り込んだ先が突然光の洪水、その眩しさで目が見えなくなった

車を止めてよく見ると、なにやら畑で人が動いている?
そうだ収穫だ、ここいら川上村はレタスの産地だ
今は午前2時半、こんな時間から村中の人が集まってレタスを刈り取っているんだ
いくつもの投光器で照らし出されたそのシーン、この時間にこの人たちの手で
刈り取られたレタスが全国に流通するんだと思うと、何だか感動すら覚えてしまう


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そのレタス街道の終点から2キロほどのダートを進むと登山口である毛木平
90分の仮眠から目覚めると、駐車場の奥から歩き始める

誰だよ夕方まで晴天なんて予報出したの・・・
曇天、そして蒸し暑い樹林の中を歩いていくうちにトレイルは沢に沿う
これが千曲川の源流なんだ


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ずんずん進むうちにナメ滝もあって時おり爽やかな風も吹いてくれる

甲武信岳は3年前の年末に、徳ちゃん新道でピストンしている(記録無し)
針葉樹林の梢から霧氷がパラパラ落ちて来る良いカンジのハイクだったけど
ルートの高低差と長さに辟易したと山友に話したところ、ぜひこの長野側から登って欲しい
きっと気に入るだろうから、そんなアドバイスを急に思い出しての今回のハイクだった


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なるほどきれいない登山道だ
展望とかなくて地味なトレイルが続くけれど、何よりも沢と苔がとても美しく
これは山友が薦めるのも頷けるな


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歩き始めの蒸し暑さは、トレイルを進むうちに近づいて来る
千曲川からの風によって薄らいで行く


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清流と苔むす森
さすが我が山友、シブいルートを教えてくれたものだ


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ゆっくり歩いて3時間弱
ここまでの緩いトレイルも終わり、さぁ登りだ
と言うカンジの場所に千曲川信濃川水源地票が立つ


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そうだった長野から流れ落ちる千曲川は新潟に入ると信濃川になるんだ
越後に入ってから信濃へ変わるのも興味深いものだ

源流らしきところへカップが置かれている
(時節的に、掬っただけで飲まないけれど)


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さらに数メートル沢を詰める、目視できる最初の一滴を手に掬う
この一滴が日本海にまで流れてるんだ

なんて、しみじみと


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源流からはこの後ずっと目にするシラビソ、コメツガの針葉樹林を縫って登る
やっと登りかと思ったが、とくちゃん新道に比べると全然らくちん
そしてあっと言う間に視界が広がると、もう山頂はすぐそこ


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残念ながら曇り空
富士山も今日はこんなカンジ


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金峰山の向こう、晴れていればアルプスが望めるが
梅雨明け直後の青天を狙って来たけれど・・・

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今登って来た源流ルート方向を見下ろす
やはり奥秩父の山はシブい


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そして、これから向かう三宝山
今日はあのピークから武信白岩山、大山を周って十文字峠から毛木平へ戻るのだ
左の奥に浅間山が薄っすらと見えるこの山、実は甲武信よりも数メートル高い

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針葉樹林を緩く詰めて進むと、そこが三宝山
埼玉県最高峰にしては、展望も無く、、、やはりいろんな意味でシブいぞ奥秩父


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嫌いじゃない
いやどちらかと言えば好きなタイプのトレイルだ
でもこれだけ延々と針葉樹林しか見えないと、ちょっとアレだな


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30分下りながら進むと何やら巨岩
尻岩って・・・いや、確かに「お尻」だけどさぁ
も少し気の利いたネーミング無いの?
ほんとシブいわ奥秩父


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そんな素敵な名前の巨岩を過ぎると、急に岩峰を縫うような荒々しいモード
さらに巨岩を回り込むと武信白岩山南峰だが、シャクナゲのヤブの中何も見えず
次なるハシゴを登るといよいよ武信白岩山北峰か
と思いきやただの岩峰だった
しかし目の前には


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マジか?
あれが北峰?あれを踏むのか?


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細尾根に鎖場にハシゴ
いやいや、こんなワイルドなルートってこと全然聞いてないよぅ
(下調べしていない自分が甘い!)


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そしてビビってた武信白岩山北峰
その裾野の岩を巻きながら、これどうやって登るんだ?と悩んでたところ
はじめてやって来た逆方向からのハイカーに
「あ、そこ登れませんよ!ロープで立入禁止になってます」

やれやれ
ちゃんと下調べして来いよオレ

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北峰をパスしても、細尾根、岩の連続するアップダウン
そろそろ疲れも出てきた頃、最後のピーク大山が近付き右手が切れ立つ


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あぁ、これは何とも
今日いちばんの展望だ
八ヶ岳も、当然北アルプスも雲で見えないが
峰々が重なる奥に鋭角に聳えるの武甲山だろう

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うんうん
良いなぁ、シブいぞ奥秩父

と、なかなか手強かったここまでの行程を振り返り
悦に入っていたのも束の間、このピークからは岩場を鎖頼りに垂直に降りて
さらに細かなアップダウンが続き、もう足腰が悲鳴を上げた頃
(あまりの疲労に画像すら無し・・・)


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十文字峠にある、その名も十文字小屋
これまたなんてシブい!名前も佇まいもシブい
いかにも奥秩父の山小屋じゃないか


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山小屋の前に書かれていた「きのこうどん」なる文字を見た瞬間お腹が鳴る
今日はおにぎりだけ持ってきていたけれど
どこでランチにするか考えてる内にここまで来てた
よし、ここでいいや
さっそく小屋に入ると、出て来たオヤジさんにオーダーする


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はいお待ちどうさん

ってオヤジさん早くね?そんなにすぐできるものなの?
しかも出て来たうどん、失礼だけど見た目はあまり、その、アレだな、うん
と訝しく思いながらも薄暗い小屋の中でずるずるっと頂く


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おいおい何だこの美味さ!
いや、うどんはフツー過ぎるほどフツー
お出汁にも何の特徴も無いが、この香りは?
きのこだ、このきのこの風味がすごい
どれもが採りたての新鮮さ、渋みも甘味があって
こんな味わい深いきのこ食べたことが無い
その味わいがうどん全体を美味くしているのだ


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あまりに美味しくて、オヤジさんに美味いと伝えると
この辺りのキノコを厳選して採っているそうだ
でも今年は量が少なくて7月で無くなりそうだとか

となると、秋の旬の頃に来ると食べられるってことだな
周回ルートじゃなくて、このうどん目的で秋に来るのも良いかもしれない


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清流と苔むす森

曇ってたおかげで大展望も無かったけれど
下調べをしていなかったおかげで、新鮮な驚きもあり
思いの他ワイルドなルートもあり
そして美味しいうどんもありの、良きハイクとなった奥秩父
このエリアをもっと歩いてみたくなった




Commented by pallet-sorairo at 2022-07-12 10:17
シブいコブシ、スロさんだったらやっぱり日帰りなんですね。
私は甲武信小屋に泊まって翌朝山頂を踏んだのに
その朝に毛木平を出たというヒトたち何人にも
スタスタと抜かれてしまったのを思い出します(^^ゞ
十文字小屋に泊まって栃本までの道を歩いたこともありますよ。
こちらはゆるゆるとした単調な道なのでそれこそシブすぎて
スロさんにはまったくもって物足りなさすぎると思いますが
昔の人の暮らしを思いながら辿るにはなかなかに深い思いのする峠道でした。
辿り着く栃本の雰囲気も(その頃は)とてもよかったので
「このエリア」に反応してコメントしてみました、悪しからず(^^。
Commented at 2022-07-12 10:29
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by slow-trek at 2022-07-12 21:10
Palletさん

甲武信小屋泊まりの記事拝見しましたよ^^
良いじゃないですか、ゆっくりのんびり小屋泊りも~
栃本って初めて知りました、ちょっとネットで調べると
峠道を辿って棚田の風景とかあってなかなか良さそうですね
今回も3年前も思ったのですが、奥秩父は人が少なくて
静かなのも魅力ですね、機会があれば歩いてみます^^
Commented by slow-trek at 2022-07-12 21:15
鍵コメントさま

そうなんですか
まったく知らない現実があるんですねー
でも私が目にした現場はそうでは無かったですよ
そこだけでも安心してください^^
Commented at 2022-07-13 22:39
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by slow-trek | 2022-07-11 23:18 | 関東甲信越[関東山地] | Comments(5)