後立山裏銀座 水晶の星空

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■山行日:2017年09月22日(金)
■山:針ノ木岳・赤牛岳・水晶岳・野口五郎岳
■目的:縦走
■ルート:水晶小屋(06:00)-野口五郎岳(09:30)-高瀬ダム(15:00)


水晶岳への最後の登り帰しを詰める
目の前に、久しぶりとなる水晶のピークから、近づいた槍ヶ岳を望む

あぁ、また来たんだ、この奥黒部へ、また来たんだ

ガスが湧き始めたピークで、しばし黒部の空気を楽しむと
ビールを求めて小屋へと急いだ




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小さいけれど、稜線で頼もしく立つ大好きな小屋
水晶小屋泊は、もう何度目だろうか?受付でビールを飲み
少し心配しながら石垣君を待つと、お母さんが先に、その15分後に到着

 どうする?雲ノ平まで頑張る?
 とんでも無いです、ここで泊まります、もうヘトヘトです

明後日には、どうしても富山へ行く事情があると言う石垣君
それでも、雲ノ平か薬師には行きたいと、眼を輝かせている


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こんなに疲れ果てた顔してても、まだ薬師岳だって?
あぁ若さって憎いほど羨ましいなと、苦笑いしながらも
折立のバス事情、太郎小屋からのタクシー予約など教授した


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17時になり、一人ぶんの場所を確保出来ると、ほっとひと息
いつものカレーもビールと共に美味しく頂き、もっと食べなよ!
と無理やり丹沢姉さんにお代わりをさせられ、賑やかなひととき
窓の外では奇跡的な夕景が広がり始めていた


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ポケットウイスキーを手に、小屋の上にあるポイントに立つ

槍ヶ岳、鷲羽、黒部五郎、野口五郎、薬師

見渡せるすべての峰々が、ゆっくりと赤く染まってゆく
その素晴らしきシーンに、胸が熱くなる

どうだ石垣君
はるばる来た甲斐があっただろ?


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小屋に戻ると、丹沢姉さんと山談義、明日の下山について
野口五郎か、真砂岳から湯俣か、喧々諤々してる間に酔っ払い
ちょっとだけ休みます、と2階へ逃げ出して横になると、向こうから
あの大阪のお母さんの声、どうやら関西出身者と意気投合な様子


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秋の高見山に三峰山ね、それに明神平の霧氷、大台ヶ原の他にもええ山ありますねん
いえいえ金剛山かて、ええ山よ、岩湧山のススキも綺麗やしねぇ


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あぁ懐かしき台高山系、金剛山、、、一瞬、大好きな明神平の霧氷が胸に広がると
自分が今寝っ転がってる場所がどこなのか分からなくなっている

なんだか、すごく酔ってるぞ、ここは?ここはどこだったっけ
お母さんの心地好い語りを子守唄に、いつの間にか眠っていた


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深夜、ふと目覚め、星空を眺めに小屋を出ると
天の川が野口五郎の上を流れていた

稜線から見上げる星は、切ないほど美しい

温泉沢の頭ですれ違った夫婦は、この星たちを見上げているだろうか
星たちも、山で眠る我らを見下ろしているだろうか


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翌朝、いつもより、すっきりと目覚めると、下山の準備
薄暗い小屋の中では、お母さんも、丹沢姉さんも姿が見えない
挨拶が出来ないのは残念だけど小屋を出ると、石垣君がいた

  いろいろ、ありがとうございました。楽しかったです。

いや、雑誌を見ただけで、この読売新道へチャレンジした
君の若さが眩しいほど羨ましいよ、折立まで長い、頑張って!


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野口五郎から朝陽が射す、今日も秋晴れ、北アルプス

紅葉の進んだ五郎池を見下ろしながら、黙々とひとり
今度は、黒部ダムから五色ヶ原、ぐるっと裏銀座周回とかどうだ?
そんな夢を見ながら、野口五郎から360度を見渡す


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ときおり振り返るが、誰も続いては来ない
丹沢姉さんは、どっちのルートって言ったっけ?
酔っ払ってたからなぁ二人とも

またどこかで会えるさ、新緑の丹沢とかで会えたらいいな


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前日縦走してきた、赤牛から水晶までの稜線を眺めながら下る
なんとも贅沢な下山だ

烏帽子小屋まで下ると、あとはブナ立尾根を下るだけだ
赤牛を前に、ひとり缶ビールで乾杯

小屋の受付で、大阪のお母さんは、無事に水晶から赤牛まで辿り着いて
こちらに向かって何度も手を振ってたことを伝える

  あぁ、そうですか、心配してたんですよ。良かったです、嬉しいなぁ

その笑顔に、そう言えば昨年もここでメッセンジャー役してたなと苦笑い


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久々のロングな山旅、そう狙ってはいたが
結局は三泊四日に終わった縦走
登山としては中途半端な感はあるが、悔しさは無く、満ち足りている

何故なら

初めての針ノ木岳への稜線から望む氷河
7年ぶりの読売新道
変わらない風景と、ちょっとした出合い
ひとつ、ひとつのシーンが、良き山旅として、今も残っているから




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Commented by pallet-sorairo at 2018-02-25 22:05
満ち足りた山旅。
存分に楽しませていただきました。
ありがとう。
羨ましいぞ、スロさん!
Commented by slow-trek at 2018-02-26 08:31
palletさん

>羨ましいぞ、スロさん!

ありがたいお言葉です^^
こちらこそ、こんなダラダラした記録
最後まで読んで頂いて、ありがとうございます(^^)
Commented by フルシン at 2018-02-26 23:22 x
こんばんわ はじめてコメントさせていただきます。
以前のブログを知ってから間もなく「ラスト・ラブレター」、、
もうブログは辞めてしまったのかと残念に思っていたとき、
ひょんなことから「荒野にて」に辿り着いて、
半年ほど前から記事を拝読させていただいています。

スロトレさんが下山された次の23日土曜から、
私も奥黒部を3泊4日で歩いてきました。
同じ時期に歩かれた記事を読みながら、楽しかった山行を思い出してコメントしようと思った次第です。
私は今回はじめての奥黒部だったのですが、魅力に取り憑かれてしまいました。
今度は読売新道から赤牛岳も歩いてみたいと思います。

またコメントさせていただきます。

Commented by slow-trek at 2018-02-27 23:39
フルシンさん
こちらこそ、はじめまして
前のブログからお付き合い頂いてるとは
ありがたいやら、恥ずかしいやら^^;
しかも、私の下山翌日から奥黒部でしたか~
記憶によると、土曜の午後から崩れた後
しばらくは晴天だったかと、きっと素晴らしい
山行だったでしょうね、いつかチャンスがあれば
この読売新道もトライして下さいね^^
by slow-trek | 2018-02-25 18:52 | 北アルプス | Comments(4)