天辺へ 天蓋山

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■山行日::2019年05月04日(土)
■山:天蓋山
■目的:天辺へ
■ルート:登山口(08:45)-山頂(10:20-12:00)-登山口(13:15)

2014年のこと
飛越トンネルから北ノ俣岳、黒部五郎岳を歩いたとき
初めてのエリアと言うこともあって、北飛騨山域について
ネットで情報を探っているときに目に付いた山がある
それが 「天蓋山」だ

ネーミングもさることながら、このエリアを紹介する
webサイト「北飛騨の森を歩こう」では
北ノ俣から黒部五郎の稜線を背景に、ただ一言

天辺へ

この一言、この一行に惹きこまれてしまい
いつか行く山リスト(ずらりっと有るのだ)に記録してあった
10連休だの、平成最後だの、新元号だの
世間は賑わっていたGW、体調不良で好例の尾瀬残雪行も断念し
このまま連休も終わるのかと嘆いていたところ
ふっと頭に浮かんだのが、この山だった





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GW後半、最も晴天との予報の中、きっと北アルプスはお祭り騒ぎだろう
そんな中、早朝のさわんど駐車場をスルーし、上高地も新穂高もパスし
北飛騨の森へ急ぐ自分は、はやり物好きだよなぁ


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R471の神岡から「飛越高原天の夕顔の道」を行く
山吹峠まで上り詰めると、もう樹林の合間から黒部五郎が望める
山之村キャンプ場の登山口から歩き始める



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白樺の森をなだらかに歩くと、やがて小さな沢に出会う
トレイルは沢沿いを、ゆるゆる、ゆるゆる進む
いや、これっていつ登るんだ?と訝ったころ



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トレイルは沢を離れ、尾根芯となり、「ここから急坂」となる
なるほど、わざわざ表示するのが分かる急登だ
こりゃ、地図で見てナメていたな



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汗だらだらで脚を止めると、吹く風は冷たく空は青く
振り返ると、白い稜線が見えていて気が逸る
トレイルは赤土となり、滑りやすなる、下山時は注意だ



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その赤土を登った感を覚えたころ、足元には「急坂ここまで」
1370mの「すずめ平」は、その名の通りフラットで
ひと休みに調度いい感じの木陰もあり、なんと言っても
振り返ると、もう黒部五郎、北ノ俣岳が、目の前だ



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その展望に、ザックを降ろして一本入れるか・・・
ん?あれは?何か尖がってる?



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なんと、まさかの槍の穂先だ、こんな里山から槍が

こりゃ座ってるバヤイじゃないぞ
少しでも早く山頂に立たないと、この青空がどうなるか



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慌ててすずめ平を後にすると、再びの急登
白樺から、ブナ、シナの木へと植生が変化し
その樹林の姿に、日本海に近い山域を感じる



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1480m辺り、鞍部の残雪が溶けかけている箇所を超え
最後の詰め、もうトレイルの先に大きく青く空が広がっている

きっと振り返ると・・・

いや、まだだ、ピークまでは振り返るんじゃないぞオレ




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一息で上り詰める

と、そこは360度の展望が待っていた
さすが、11座の百名山が望めると評されているはずだ



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剱岳を中心に立山連峰、薬師、北ノ俣、黒部五郎



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悔しいが水晶は目視出来ないが、きっと見えているはずだ

こうして見ると、槍の右手
笠ヶ岳のなんと雄大なことか



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まだまだ続く
焼岳に、意外と近く見える乗鞍、御岳



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そして、薄曇りの西の空に浮かぶ白山

なんだ、この贅沢な山頂は・・・・
全身を濡らしていた汗は、あっという間にカラダを冷やし
興奮をも冷めさせてくれて、アウターを一枚着込むと
山名板に近づく、そして、その刻まれた名を撫でる



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田部井淳子さん
彼女による直筆、彼女の好きだった山

世界の名だたる山脈を制覇した偉大な登山家が
太郎兵衛平からの夕景に感動して涙していた姿
被災地の高校生に感動を与えたいと始めた富士山プロジェクト
亡くなる三ヶ月前まで同行し、雨の中下山してくる高校生たちを
泣きながら迎える姿、、、TVのドキュメントで見た
数々のシーンを思い浮かべながら、その名を撫でた




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下山は、黒部五郎を眺めながら
ゆっくり、ゆっくりと
またひとつ、自分の中で、自分だけが
大切にしたいと思う山が出来た喜びに浸りながら

ほんの標高1,537mの里山
そこは、まさに天辺だった




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by slow-trek | 2019-05-29 04:34 | 北アルプス | Comments(0)