初秋の秘湯旅 雲取山三条の湯

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■山行日:2017年10月08日(日)-09日(月)
■山:雲取山
■目的:秘湯
■ルート:丹波バス停(10:00)-サオラ峠(12:30)-三条の湯(15:30)
     三条の湯(06:10)-雲取山(09:50)-鴨沢バス停(09:50)

山友から誘いを受けて、初めての雲取山へ
小屋泊で行くことになった

この東京都内にある標高2017の名山
実は舐めていた、サクっと気楽に日帰りピストン出来る
軽く、ゆるぅい山だと勝手に思い込んでいた
温泉も、お湯に浸かれる山小屋くらいに思っていた
そんな勝手な思い込みは全て裏切られ
思いのほかキツい登りと、素晴らしい温泉
そして楽しい仲間たちが待っていた




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奥多摩からバスに揺られ、終点となる丹波(たば)で下車
山麓にある畑を抜けると、鹿避けネットが登山口だ
トレイルは植林の中を九十九折で進む


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数日前まで秋らしい涼しい日が続いていたが、この日は一気に
気温が上がり夏日、その暑さと延々と続く植林に辟易しながら思った
いつものようにソロだったら、面白くない時間だったろうな
でも今日は違う、なんと言っても13名もの仲間が集ったのだ


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足元に転がるイガ栗、小さな花、季節はずれの暑さ

何でもないことが話題となって、会話ひとつひとつが妙に楽しく
谷間にこだまする笑い声は、秋の雲にまで届きそう


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2時間近く九十九折を繰り返すと、やっとフラットになり始め
トラバースして進むと、サオラ峠だ

東から伸びる広い尾根が、なんとも心地良さそうで地図を見ると
丹波天平(たばでんでいろ)とある、どうやらこの山域では
広い尾根を平(でいろ)と称するようだ


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美味しい栗ご飯おにぎりの差し入れを頂いて小休憩

「皆さんの足を引っ張ってごめんなさいね」

79歳の小さな山ガール、アベさんは申し訳無さそうだけど
その笑顔に、いっぱい元気頂いてますよと、みな暖かな顔になる

さぁ、いよいよ三条の湯へ

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稜線の裏っ側は、丹波からの植林とはうってかわり
ブナ、水ナラ、カエデの素晴らしい森だ

その色付く森を歩き始めて、やっと秋らしさを覚え、つい頬が緩むが
トレイルは、遠慮なくずんずん、ずんずんと下る

いや、地図で見てはいたよ、でもさ、あれだけ汗かいて登ったのに
一気に300mも下るなんて、もったいないよ


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静かな森を下り、小さな沢を何度か渡り、尾根を登り返し
ひんやりとした空気の中、13組の脚がカサコソと秋の音を奏でる



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歩き始めから5時間以上過ぎている、そろそろお疲れじゃないだろうか 

アベさん頑張れ、アベさん頑張れ、そんな思いも通じてか
谷間にそっと佇む小屋の姿を全員揃って見下ろすと、大きな歓声を上げた



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そのロケーション、竈で爆ぜる焚き火の香りと湯の香り

「スロ兄さんきっと大好きな小屋になるよ~」

今回、幹事役を努めて頂いた矢車草さんの言葉も頷ける
この全体の佇まい、そのものが魅力的な小屋だ


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大部屋一部屋に13名、皆さん手際よく、あっと言う間に布団が並ぶと
楽しみにしていた温泉だ、小さい湯船だけど、蕩けるようなお湯の
心地好さは、まさに秘湯の名に相応しいものだった


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舞茸の天ぷら、鹿肉の燻製、茗荷のおすまし

見た目は普通の田舎料理、だけど一品々が、なんと美味しいこと
特筆すべきは、ご飯だろう、御釜で炊いたご飯には、見事なおこげ

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もちろん朝食も美味しく、自家製の味噌で作られたお味噌汁!

温泉と、白ごはん、味噌汁だけでも、ここへ来る価値があるぞと
うんうん、頷きながら、大満足な小屋泊となった


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朝食を終えると、予定通り6時過ぎに出発

朝陽の差し込む秋の森は、宝石箱のような輝き

きらきら、きらきら、かさこそ、かさこそ

ときおり西の森が開けると、大きな山が見える
このエリアは全くの未知、山名すら分からないのが悔やまれる


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二時間もすると富士山のシルエットも見え始め
朝食の場で、小屋番さんが皆さんのテンションを一気に下げた
曇り予報も見事に外れた嬉しさに笑う

そして視界が広がると、そこが三条ダルミ
平(でいろ)が広尾根ならば、ダルミはコル、峠だろうか

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先に着いた人たちは、皆さんこちらを指差してはカメラを向けている
ふり返ると、富士山が見事に浮いていた

富士山とおやつを堪能してる間に、コルを吹く風にカラダは冷え切った

よし、いよいよピークへ向かうぞ


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小さく九十九折れを繰り返す、この最後の登りがキツい

富士山が雲に隠れ始め、あぁ、急がないと
と、詰める上がると一気に視界が広がり、山頂だった


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長く伸びるのは、石尾根縦走路
振り向く稜線は、飛竜山


富士山は隠れたけれど、澄んだ秋空の美しいこと
そして

まったく始めましての人も、ネットでは知り合いだった人も
二日間で、立派な山仲間となり、その13名全員が
揃ってピークを踏めた喜びに満ちた表情の眩しいこと


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79歳の小さな山ガール、アベさんも感動されている様子が微笑ましく
それを囲む笑顔も、また暖かく、素敵なひとときとなった


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秘湯と2017年の2017m

全員揃って目的を達成すると、あとはのんびり下るだけ


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カラマツ色付く石尾根、紅葉に囲まれた奥多摩小屋
五十人デーロのランチにブナ坂のしりとり

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最後の一歩まで暖かい笑顔
秋の空にすい込まれて行った笑い声

素敵な秋の山旅は、心にじんと残っている



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Commented by pallet-sorairo at 2017-11-17 11:07
>素敵な秋の山旅は、心にじんと残っている
私も未だにじんとする。
それにしても、たけさんとアベさんのコンビ
なんと微笑ましくもじんとさせる素敵な光景であることか!
Commented by slow-trek at 2017-11-17 22:53
palletさん

そうなの!
タケさん、アベさんの、なんとも息の合った感じ
微笑ましくも、羨ましくも有りました(^^;)
なんと言ってもタケぽん!いいオトコなんですよねー
私も惚れ直しましたよ(^^)
Commented by tukinobo at 2017-11-18 23:00
ずんずん、ずんずん。
きらきら、きらきら。
かさこそ、かさこそ。
光り溢れる、秋の森の写真を
たくさん見せてくれてありがとう。
三条の湯、本当にすてきねぇ、
温かで、すてきな秋の山レポでした。
Commented by slow-trek at 2017-11-19 22:49
yakoさん
いやー、そうやって繰り返し言葉並べられると
まるで小学生の作文ですね(^^;)
三条の湯、ここは、ほんと良い小屋でした
雪の降り積もる頃に行けたらなと思ってます

>温かで、すてきな秋の山レポでした。

うふふ
めっちゃ嬉しいです、ありがとうございます^^
by slow-trek | 2017-11-16 23:37 | 関東甲信越[関東山地] | Comments(4)