荒野にて

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今シーズン初ラッセル 鏡平

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■山行日:2016年12月03日(土)
■山:北アルプス:鏡平
■目的:雪山初め
■ルート:新穂高温泉(06:00)-鏡平(13:00-13:30)-新穂高温泉(18:00)

11月初旬
2016年最後の北アルプスとして目指した奥丸山は
愚かなミスを犯した結果、林道歩きで撤退したけれど
晩秋の雪化粧に満足した北アルプス納めとなった

しかし

まさに、その同じ日、新穂高から鏡平まで歩いた登山者
その画像がInstragramにUPされていて
美しき姿にくぎ付けになってしまったのだ・・・
 
そうか、そんな手段があったのか
この時期だと、鏡平までならギリギリ行けるだろう
あの穂高連峰を見渡すには最適なロケーション

よし、鏡平に行こう




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アイゼンは間違いなくザックに収めたことを再チェック
スノーシューはどうだ?

きっと不要だろう
いや、必要な状況になったとすれば、それ以上は行けないってことだろう

12月の北アルプスをソロなんだ
それくらいのリスクは認識しなければ

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まだ薄暗い時間の新穂高
登山指導所だけ明るく、指導員の方がスタンバイされていた

届を出すと、左俣には、既に二組入っているとのこと
先行者が居ることに安堵したのは正直な気持ちだった

ヘッ電で歩き始めると、徐々に空がら赤く染まり始めた

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わさび平の手前辺りから、夜明けの一番冷え込む時間
風は無くとも、頬が寒さで痛いほどだ

ザックに付けた温度計ではマイナス10度

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放射冷却で、さらに手足の先が冷たくなり
林道の路面が凍りつき、何度もスリップしそうになる

小池新道に取り付く頃、急に雪が深くなる

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そして、目的だった、真っ白な穂高連峰

その稜線が見え始める

そのシーンにハイになり、脚も進むところだが
積雪はどんどん深くなる

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秩父沢で、後続のテン泊装備の若い男性二人組に先を譲る

彼らは若さで、積雪をものともせず、ドカドカ進む

その後ろ姿を眺めながら、自分の体力の無さに落ち込んでしまう

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いや、ダメじゃないか
これじゃ、先に歩かせてラッセルさせてるようなものだ

オレだって、オレだって
と、必死で彼らを追う

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若きペアに何度か追い付いてはラッセルを変わり
また先を譲り、と繰り返すが

シシウドヶ原から弓折岳東面を鋭角に巻き始める頃
積雪は、ときおり膝を超え
もう彼らを抜くことは出来なくなった

脹脛は攣りそうになり
太腿の筋肉は悲鳴を上げている

こんなに雪深いとは思わなかったな
いやいや、いくら暖冬だとしても12月だ、北アルプスの2000m

スノーシューも持たずしてひとりやって来た
自分の甘さに苦笑い

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もうダメだ

暑さと疲労で、全身汗びっしょりで雪の上に倒れ込む

しばし休むと地図を睨みながら記憶と照合する

まだ熊の踊り場よりも下、そして時間は12時

雪のトレイル下山、凍結林道を考えると、12時には
鏡平から下山開始しなければ、と決めていた

どうする?
このままだと、早くても鏡平着は13時を過ぎるだろう

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雪に倒れたまま、樹林の向こうで急斜面と戦う先行ペアを見上げる
どうやらワカンを付けたようで、今までより
少しだけ足が早まった気がする

よし
ここまで来て帰れるものか
13時だ、13時までは歩こう

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気力だけで、一歩一歩雪を踏む

ふと気付くと、何か今までとは空気が変わっていた

しん、とした空気と、地の果てまで一人きりなような静けさ
そして、さっきまで追っていた彼らのトレースは消え
雪の上には、何かの足跡

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トレースは、いつ、どこへ消えた?

その不思議な静けさの中、獣のトレースを追うと
低い灌木の中から、ふっと視界が広がった

そこに穂高がいた

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その刹那

思わず頬が緩んだかと思うと
自分でも不思議なくらい笑いが止まらなくなり
そして笑ってる間に、いつしか涙が流れていた

何やってだんだかなー、オレって
こんな時期に、こんな所へ一人歩いて
汗びっしょりで、空腹と軽い脱水でふらふらしてて
ほんと、何やってんだろう
しっかし、きれいだなー穂高

ひとり雪の上で泣き笑い

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穂高を正面に、ひとしきり笑い泣きするともう13時半

さぁ、もう、もうリミットは超えている

帰ろう

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鏡池には足を踏み入れることなく
ただ静かに穂高と槍に魅せられていた先行ペア

彼らに大きくに手を振ると
もう一度ここまで導いてくれた獣の足跡を辿って下山を始めた

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せっかく用意したランチもザックの中でお荷物状態 
死にそうなほどの空腹を、チョコレートでなだめながら歩く

足腰がガクガクするし、お腹はペコペコ
それでも、目の前に広がる光景は、心に沁みるほど美しく

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あぁ下山したら山賊焼き定食だ、ぜーったい食べるのだ

なんて独り言を繰り返しながら
晩秋の陽が傾くにつれ変化してゆく穂高連峰の色彩に染まる

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2017年最後の北アルプス

久々に胸を満たす達成感を
何度も反芻しながら、もう真っ暗な新穂高から振り返った


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by slow-trek | 2017-01-04 23:27 | 北アルプス | Trackback | Comments(4)
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Commented by ruonick at 2017-01-05 15:56
スロトレさん、あけましておめでとうございます♡今年もよろしくお願いしますヾ(o´∀`o)ノ

雪の鏡平最高にキレイですね(*´ω`*)
この見上げる感じがいいーっ!
この時期だとまだ夏道で登れる感じなのですか?
スノーシューを置いてっちゃうところで、ダメダメ!と呟いてしまいましたw

年末年始はどこか登られたのでしょーか。
私たち、大峰行ってきました(*´ω`*)八経ヶ岳で年越しテント。
もしかしてスロトレさんに会えるかなぁなんて思いながら歩いてましたよ((≧艸≦*))
静かな大峰でした((o(*˘ω˘*)o))
Commented by slow-trek at 2017-01-07 00:12
ゆなさん
こちらこそ今年もよろしくお願いします^^
スノーシューね、確かに甘く見過ぎてました
ゆなさんちが、厳冬期のこのエリア大好きで
よく歩かれてること想い出してましたよ^^
年末年始は久しぶりに大阪の自宅でのんびり
過ごしてたので今年はまだ山初めしてません
大峰の年越し羨ましい限りです
今年こそどこかでお会いできますように♪
Commented by 梨丸 at 2017-01-07 22:35 x
明けましておめでとうございます🙇
今年も沢山の感動レポをお願いしますね😉

それにしても、よくぞスノーシュー無しで膝ほどもある積雪をモノともせず?鏡平まで行かれたもんです‼
私らも年末年始に鏡平までどうだろうかと少しだけ考えましたが、雪が少ないとは言っても、やはりそこは厳冬期の穂高のお膝元ですから、厳しいものがあるだろうと断念して、結局イージーな山に変更しました。軟弱ですから(^_^;)

苦労したあとの感動の絶景は感極まるものがありますよね😉
素敵なレポをありがとうございました。
Commented by slow-trek at 2017-01-09 23:26
梨丸さん
今年もよろしくお願いしますね^^

>それにしても、よくぞスノーシュー無しで膝ほどもある積雪をモノともせず?

いやいや、モノともせず、どころか
これほどヘロヘロは、2016年で一番でしたよ^^;
舐めてましたね、12月の北アルプス
でも、この時期までなら充分ねらい目だと思いましたよ
梨丸さんも、チャレンジしてみてくださいね!
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