荒野にて

slowtrek.exblog.jp ブログトップ | ログイン

不帰ノ嶮 白馬大雪渓から唐松岳(後)

b0244811_22591356.jpg

 
■山行日:2016年08月12日(金)-13日(土)
■山:白馬鑓ヶ岳:天狗岳:唐松岳
■目的:キレット超え
■ルート:猿倉(06:30)-頂上宿舎(12:00-12:40)-杓子岳-白馬鑓-天狗山荘(15:45)
      天狗山荘(06:00)-唐松岳(10:20-10:50)-八方池山荘(12:10)
 
今夜は12時前に月が隠れるよ、星が観たいならその時間に起きなよー

食堂での、誰かのそんな会話が頭に残ってたからだろうか
12時過ぎに目が覚める、カメラ持って外へ出ようかどうしようか
と、気付いたらもう2時だった、慌てて外へ出るも濃いガスだけ

4時に起きると、テン場の向こうには茜色に染まる雲海
久しぶりの美しき海を前に、震えながら立ちすくむ
 



b0244811_2314083.jpg


5時前、昨日テラスで行くの、止めるのと喧々諤々されてたご夫婦が出発
どうやら奥様も決心されたようだが、その表情は心なしか曇ってる

大丈夫だろうか、と気になってしまう

b0244811_2325081.jpg
b0244811_2334185.jpg


5時半からの朝食をしっかりと頂き、6時には発てるよう準備する
テン場の半分ほどがはけた頃、ゆっくりと出発する

あせることはないさ、景色を楽しもう

b0244811_23111056.jpg


天狗の頭まで、ほんの15分ほど
朝の冷え切った空気の中、なだらかな稜線を進むと
朝靄の中から、剱岳がぬっと現れる

改めて、その姿に見とれる

b0244811_23155429.jpg


南下する稜線を見据える
唐松まで続くギザギザまでは、なんとも穏やかな稜線

このギャップが美しい

b0244811_23175422.jpg


その美しき稜線は、突然足元から消えてしまう
ここからが「天狗の大下り」
最低鞍部まで、一気に300m下るのだ

目の前には、巨獣の背のようにうねるギザギザ
足元は切れ落ちている

b0244811_23185449.jpg


なんだか、ぞくぞくするシーンじゃないか

先ずは巨大スラブを鎖頼りに下降する

下降そのものは、鎖も、岩肌に摑まる凹凸もあり楽だった
それよりも、下り終えた後の足元が砂礫で危なく思える

b0244811_23194979.jpg


最低鞍部へ下りきる、地図上ではここが「不帰キレット」だ

最低鞍部からも、剱岳
その姿は、少しだけ近付いたような気がする

b0244811_23223177.jpg


鞍部からⅠ峰までは、ほんの100mくらいか
あっと言う間にピークを踏む

b0244811_101258.jpg


その先のⅡ峰、最も危険な峰が、圧倒的な威圧感で屹立している
その姿に、無言の圧力に、畏れと恐れを覚える

b0244811_2325924.jpg


砂礫と岩とハイマツとを縫うように再び鞍部へ下りきる
さぁ、いよいよⅡ峰へ

b0244811_2326324.jpg


先行するペアを見上げる

b0244811_2327334.jpg

 
これぞ岩峰
なんともヘヴィな登りじゃないか!

想った通り、西側の岩峰は、鎖も岩肌も冷たく
それを握る指先から、全身へ冷気が走る
両手、両足を使っての登攀
そのスリル、そして相反する楽しさに夢中となる

b0244811_23283252.jpg


岩峰を詰め終えた処で、唐松からの縦走者へ譲る
テン泊装備の彼らが下りきるまで上から、見守る

なるほど、昨晩同席したお二人の云ったことが分かる
この下りは厳しいだろう

b0244811_23294215.jpg


歴史ある案内板が付けられた岩を東側に回りこむ
と、例のご夫婦が立ったまま休憩されていた
奥様は、肩で息をしながら水分補給中

  一番の難所は終わったはずですよ、もう少しがんばりましょう!

声をかけると、笑顔で大きく頷き返してくれた
きっと大丈夫だろう

そして鎖を頼って巻きながら登ると、そこがピークだった

b0244811_2331872.jpg


さぁ、終わったぞ
Ⅱ峰南峰はすぐそこ、そして後は唐松まで普通の登山道だ
なんだか、あっと言う間に終わったな

Ⅲ峰を踏むと、ゆるやかに唐松ピークへ

b0244811_2116482.jpg


朝のクリアな空から、もう雲が湧き、剱岳も見えなくなった

b0244811_21172852.jpg


振り返ると、キレットの迫力に圧倒される
こんなにも存在感の有る山塊だったんだ

b0244811_22485394.jpg

 
山荘で20分ほど休憩すると、あとは下るだけ
どんどん下からガスが湧いてきては、視界を白くさせて行く中
キレットを展望できるポイントで、突然ガスが消え去る

b0244811_2334164.jpg


すっごいギザギザだな
こんなにも鋭いギザギザを歩いたんだ

あっと言う間に終わったキレット
遠くから見上げてるだけだったキレット

たった今まで、あの峰々を超えて来たかと思うと
小さな充実感が胸を満たして行く

b0244811_094257.jpg


今まで何度も見上げていた八方池からの姿
今日は少し違って見えるはずだ、そう思って足早に降り始めた

しかし、ゆっくりと湧き上がるガスは不帰嶮を覆い込み
そして、やがて白馬全てを白く隠し
二度とあのキレットを望むことは出来なかった


ブログランキング・にほんブログ村へ
■RANKING■

by slow-trek | 2016-09-08 22:19 | 北アルプス | Trackback | Comments(11)
トラックバックURL : http://slowtrek.exblog.jp/tb/26177711
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by pallet-sorairo at 2016-09-09 07:12
暑かったようですがいいお天気ゲットしましたね!
行きたいけど自分では行けないような気がして
ここもまた未踏のまま終わってしまうはず。
スロさんのレポで楽しませてもらいました。
ありがとう。
Commented by katsu♨ at 2016-09-10 00:31 x
ギザギザ、良いですね・・・
ギザギザな稜線は大好きです♫
来年はギザギザルートにしようかな♫
一日違いでしたね・・・会いたかったな〜
まだまだ君と僕の赤い糸を信じてますよ(笑
いつの日かジョインで山より宴を夢見ております!
Commented by ruonick at 2016-09-11 18:39
うわぁぁ(இдஇ`。)
この斜度はやばいです、、、
Ⅱ峰への登りも鎖はあるんですよね…??
大キレットよりも簡単でしたか?

でも景色は最高ですね(*´ω`*)
唐松でのスロトレさんの笑顔がかわいいです((≧艸≦*))
お疲れ様でした!
Commented by slow-trek at 2016-09-11 23:08
palletさん

ありがとうざいます
久々の北アルプス遠征、それも二日間の限られた
時間しかなくて、それがピーカンだったのは
この夏の一番の想い出となりました^^
このキレット縦走、ムリに歩かれなくとも良いかと・・・
でもね、天狗の頭はぜひとも踏んで下さい
山荘から素晴らしい稜線が続いていますよ^^
Commented by slow-trek at 2016-09-11 23:10
katsu♨さん

あ、一日違ってました?すみません
またニアミスだと思ってハイになってしまい(^^;)
いやいや、それでもkatsu♨さんとのドぶっとい
赤い線は、そりゃもう絶対的なモノでして
いつか必ずや(って、もう何年言ってんだ^^)
Commented by slow-trek at 2016-09-11 23:13
ゆなさん
そりゃクサリもハシゴもありますが
傾斜?高度感?それはほんの一部(Ⅱ峰)だけです
大キレットみたく、緊迫したシーンが連続するような
そんなことはありませんよ

>唐松でのスロトレさんの笑顔がかわいいです((≧艸≦*))

てへへっ
いい歳ぶっこいて山ではコドモみたいな顔してると
ヨメさんにいつも言われてます^^;
Commented by かもしか です at 2016-09-26 18:39 x
こんにちは。
随分しばらくぶりに、スロトレさんHPを拝見しました
\(^о^)/
不帰ノ儉通過されたのですね。難所と呼ばれているところを通過するのは、ホント充実感ありますね。“どやっ、通ったどーー!!”って(^о^)
私も、数年前に猿倉~扇沢縦走の時、通過しました。
もう一度、長谷川キレット・不帰ノ儉歩きたいです。
そう、充実感が大好きです。
Commented by slow-trek at 2016-09-27 23:23
かもしかさん

えーっとですね、登山関係のHNで
最も多いとされる中に「かもしか」さんが
あってですね(^^;)どなたなのか、一抹の
不安もありますが、久しぶりに訪れて頂いた
とのこと、ありがとうございます^^
どうやらキレット大好きなようですねー
後を追いかけますので、よろしくお願いします^^
Commented by かもしか→てくてく at 2016-09-28 11:39 x
そーでしたか、ニックネームの”かもしか”って、最多のようですね。名前からバリバリのアルピニストのようなので、改名します。
おひとり様歩きをテクテクしていますから、(旧)カモシカ→(新)”てくてく”で。
追いかけられるほど、歩いていません、てくてくですから
(;≧о≦;)
時々、楽しませてください。よろしくお願いします
m(^ё^)m
Commented by slow-trek at 2016-09-29 07:57
かもしかさん
ふふふ^^
あの、かもしかさんですね~
自信を持って判明しました
お名前はそのままでいいじゃないですか
てくてく歩きでもかもしかさん(^^)
こちらこそ、たまには覗いてやってくださいね♪
Commented by あの、かもしかです。 at 2016-09-29 11:40 x
はい、あの かもしか だと思います。
なんだかんだあって、そのなんだかんだの時にfacebook初めて、そしたら最初のブログのほうは止まったままで。
はい、スロトレさんのブログ大好きですのでちょくちょく覗きにてくてく歩いてきます!(*^ё^*)
line

山行記録と山にまつわる物語


by slow-trek
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite