荒野にて

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登る、祈る、男体山登拝大祭

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■山行日2015年08月07日(日)
■山:日光男体山
■目的:登拝
■ルート:中宮祠登拝口(00:30)-奥宮(04:00-06:00)-中宮祠登拝口(08:30)

日光男体山

2012年に関西から単身赴任で上州へとやって来て
オフィスの窓から遠くに望み、一番最初に気になった山
北関東での登山ライフも慣れ、この山の座る奥日光には
もう何度通ったことだろうか、なのに、未だに登っていない山

いつかは登る、いつでも登れる
そんな風に想っていたまま4年が過ぎ、上州からも離れてしまった
そしてやっと、この夏、その山に登るべきタイミングとなった

そのタイミングとは「男体山登拝大祭」だ
それは奈良時代から続く、男体山を御神体とする
奥日光二荒山神社の神事である
現代では毎年7月31日から8月7日、花火、弓道大会、深山踊などの
奉納行事、そのメインは、この間だけ許される深夜0時からの夜間登拝だ

そのタイミングで男体山を登ろう
そして祈ろう




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土曜の23時50分、提灯灯篭が灯る二荒山神社に到着
慌てて出発の準備をしていると、中宮から太鼓の音が響く

これで、一番乗りは出来ないな

そう分かると、もうゆっくりと準備しようか
深夜の神社で登拝の受付を済ませていると
続々と集まってくるハイカーたちに圧倒される

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受付の前にいらした宮司さんと少し会話すると
この数日は、富士山も見え、雲海も美しく浮いていたとのこと

今夜は雲も少ないし、素晴らしいコンディションな予感の中
鳥居をくぐると、登山口へと踏み出した

ヘッ電に照らされる森は、杉の巨木からブナへと変わり始める

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登山口から、三合目となる林道までは、足元の悪い直登
視界の狭いトレイルを、滑りながら進む

林道へ出ると、休憩している人だかりの多さに驚く
子供からシルバー世代まで、こんなにも多くの人が集う行事なんだ

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林道の終点まで10数分、何人ものハイカーを追い抜いて行くが
終点からは、いよいよ登山道、火山らしく岩の転がるトレイルは細くて
先行者を抜くこともままならず、ただ一列になって歩くだけ

前方には、樹林の合間に瞬く星空
その星空に向かって一列になって、ひたすら進むヘッ電の小さな灯り
それは、確かに「登拝大祭」の名に相応しい、厳かなシーンだ

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トレイルは、基本的に岩と岩に挟まれて
狭く、滑り、もちろん暗い、その中をヘッ電の小さな光
それも常に揺れている光だけを頼りに歩いていると
いつの間にか、酔ったような感覚になっていた

涼しかったのは二合目まで、もうシャツはぶ濡れ
それでも着替えるような余裕は無い
この行列のペースから遅れると、きっとご来光に間に合わなくなるだろう

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自分のペースで歩けず、ストレスだらけで、俯いて歩いていると
ふっと、空が明るくなった

4時、気付くと樹林帯を抜けていた
そして東方は薄らと明るくなった

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山頂に近付くとトレイルは広がり、一気に十数人を抜くと
日光男体山のシンボルでもある刀剣の足元に陣取った

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あとは、御来光を待つだけ

ダウンを着込んでもガタガタ震える寒さの中
ばらばらと、後続のハイカーたちが到着し始め
山頂はあっと言う間に人に埋め尽くされた

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宮司の方が、あと5分で御来光だと告げ
いよいよ、雲の合間から陽が射すと、宮司の音頭で「万歳三唱」の唱和

御来光に向かって大声で万歳三唱の唱和?なんだか無粋だな
静かな山頂で、密かに祈りたい、なんて思いは
二百人以上はいるであろう登拝者たちの万歳にかき消された

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それでも、その瞬間ここに集う人たち、皆すっきりした笑顔は微笑ましく
きっと皆さん其々、何かを祈り、そして誰かを想い
御来光目指して山頂までたどり着いた喜びに満ちているんだろう

山頂が静まったときを待ち
ふたあらやまの神に、心から祈った

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徐々に陽が登り、冷え切ったカラダを朝陽が包み込んでくれると
なんだか、ゆっくりと夜間登拝の達成感が沸いて来る

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さっそく下山する者、食事を始める者、記念撮影に集まる者
そんな人たちを縫って、奥宮にお参りをする
そして、西方に少し下る

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標高差1200m、ただひたすらに直登
その果てに望める、白根の頂きはこんなにも近く
燧のツインピークスも、くっきりと

足元の雲海は、少々物足りなかったが、そこには狙ったとおり
大きな大きな影、この御神体である男体山の影が伸びている

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その影は、なんだか御来光よりも神々しく
思わず手を合わせていた

さぁ、もう充分だ下山しよう

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夏の陽射しを受けた、下りのトレイルで思った
よく、こんなところをヘッ電だけで何十人もの固まりで歩いたものだ

疲れた足元は、塗れた岩に滑り、樹の根に引っかかり
中宮まで下山した頃は、寝不足と相まって、もう全身ふらふらだ

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登りは星に導かれ、下りは湖を目指し、年に一度の祭事は幕を閉じた

さて、次に待ち受ける山たちは
女峰山、大真名子山、小真名子山、太郎山・・・

そう、日光表連山の峰々だ

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それはいつの頃になるだろう

でも、関東での暮らしはまだまだ続くのだ
いつでも行けるだろう、いつかは行けるだろう

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湖畔をそよぐ風を受け、登拝の余韻に浸りながら、次なる峰を想った



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by slow-trek | 2016-08-17 22:49 | 関東甲信越[那須・日光] | Trackback | Comments(2)
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Commented by ルネオバ at 2016-08-18 09:40 x
やられたーー!!
上州に行かれて一番先に目に飛び込んできた山が真っ白な男体山だったはずなのに、
麓をウロウロ(失礼・・汗)するだけで、一向に登る気配を見せず。
これはもう普通の登り方なんてせえへんやろな~
・・いや、でけへんやろな・・と思っていました ( ̄~ ̄;)

さすがスロトレさん!期待を裏切らないですね~
へ~・・
「末代まで祟られる」登り方のことは知ってましたけど、
こんな登り方があったのね~・・・ふむふむ、メモメモ・・φ(^∇^ )
Commented by slow-trek at 2016-08-18 20:37
ルネさん
やられたって^^;
いや、実はこれ2年前から狙ってはいたのですよ
ただねー、人が多いの聞いてたから躊躇してたのと
この時期、アルプスへ足が向かってしまいがちなもので。
「末代まで祟られる」方法は、ちょっとね(涙)
ルネさんも、遠征のタイミング合えば登拝いかがですか^^
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