荒野にて

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冬が来る前に 11月の蝶ヶ岳(後)

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■山行日:2015年10月31日(日)-11月02日(火)
■山:蝶ヶ岳
■目的:穂高雪景色
■ルート:横尾(07:30)-蝶槍(12:00-13:00)-蝶ヶ岳(13:20)
     蝶ヶ岳(07:30)-徳沢(10:20)-上高地(12:20)


乗っかった稜線からは、南方に富士山のシルエット
西側には安曇野の田畑や家並みの、のどかな風景

そして、振り返ると穂高連峰
その素晴らしい展望の中、風は冷たく、ただひたすらに寂しい稜線

あの時、曇天の雨の中歩いた稜線からは、こんなにも素晴らしい景色があったのだ




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前穂高岳、奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳
標高3,000mを誇る穂高連峰が目の前に迫り来る展望に我を忘れるひととき

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ザックを下すことさえ忘れ
ただ、この風景に立ち尽くしていた

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蝶槍だけ踏んでピストンすると、今日初めてのすれ違い
蝶方向からやって来る、ご夫妻と思えるお二人はとても明るく、お互い写真を撮り合う
これから常念に向かうとのことだが

  「たしか、小屋まだ空いてましたよね?」

おいおい、このタイミングでそんな呑気なことを
今日まで営業しているけど、もう14時、急がないと天気も崩れるかも
そう、急かして別れると、ふたたび広い稜線にひとり

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ひとり残された稜線上で、しばし穂高と対峙する

予報どおり、雪雲が空を覆い始め、穂高の表情も変わって行く
その姿からは、これから冬を迎える前の、静かな緊張感のような張り詰めた空気を感じた

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数日前に降った初雪が残る稜線は誰も居なくて

やはり、寂しく
ただひたすらに寂しく

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穂高を背に、蝶ヶ岳へと向かう

ピークを踏むと、そのままヒュッテへとUターンし、宿泊の受付け
初めてお世話になるヒュッテ、小屋閉め二日前の静けさが
歴史ある小屋の空気を、しんとさせている

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荷物をほどくと缶ビールを飲み簡単なランチ
ほろ酔いの眠さに負けて、重い布団にもぐりこんで、うとうとする

いつの間にか外は陽が暮れ
ヒュッテではストーブが炊かれ、もう冬の山小屋の香り

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食事を頂くと、外へ出る

見下ろす安曇野の街灯りはこんなも近い

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  「自然の厳しさへのあこがれと、人恋しさ。冬の蝶ヶ岳からの眺望は
   人間の相反する欲求を同時に満足させてくれる。」

安曇野のすぐ西に位置するこの常念山脈を、蝶ヶ岳ヒュッテのサイトでは
そんな風に紹介している、その言葉は、ここに立つと体感できる

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空は西の方向が残照で明るく、星空の撮影はあきらめた

その残照に浮かぶ穂高の姿
よく見ると、北穂高と奥穂高に小さな灯り

あぁ、あの灯りは、北穂高小屋と穂高山荘の灯りだ
こんな風に見えるんだな
今、向こうからこちらの灯りを同じように見ている人がいるだろうか

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梓川を挟んで向こうの山脈に、小さく灯る火を見ていると
訳もなく寂しさが胸を満たして行く

  自然の厳しさへのあこがれと、人恋しさ・・・

なんだろうか、この感情は
その寂しさは、いつの間にか胸いっぱいに広がり
どうしようもなく、ストーブの前でウィスキーを呷った

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翌朝は予報どおりの雪だった
それも吹雪だ
ヒュッテの玄関前には、ちょっとした吹き溜まりとなり
様子を見に外へ、なんて気軽に出来ない状況だ

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朝食を頂きながら、最新の予報を聞くが、今日と明日は降り積もるようだ
その情報に、皆さん慌しく下山準備を始める
反対に小屋のスタッフたちは、今日で小屋閉めなので、なんとも気だるい空気

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装備を整え外へ出る、穂高から吹き付けて来る雪は
もう今日から穂高は冬に閉ざされるのだ、と宣言しているかのようだ

本格的な冬が来る前に、晩秋の空気と小屋閉め前の寂しさを求めたアルプス納め
どうやらギリギリ間に合ったようで、季節の変わり目、その瞬間を体感することが出来た

それは、何故だか寂しくもあり、でもやっぱり嬉しくて
ほほを刺す吹雪に向かって笑い
最後に穂高を振り返ると、長塀尾根を徳澤へと下った


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by slow-trek | 2016-07-23 06:46 | 北アルプス | Trackback | Comments(6)
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Commented by pallet-sorairo at 2016-07-24 09:51
稜線に灯る二つの山小屋の明かり、
こんな風に見ると満天の星よりもしみじみと美しいですね。
「自然の厳しさへのあこがれと、人恋しさ」そのものなんだろうな
きっと。
「季節の変わり目の瞬間」を目にすることのできるスロさんの技量が
羨ましいです。
Commented by ルネオバ at 2016-07-24 11:00 x
関西は連日うだるような暑さ。
涼しげなレポ、ありがとう!
でも、こんな侘しい冬の始まりの季節、短いアルプスの夏のすぐ先に待っているのよね・・
ほ~んと、1年なんて、早いもんです ( ̄~ ̄;)

小梨平からの穂高、大好きです。
河童橋からほんの少ししか離れてないのに、穂高のせり上がり具合が違うのよね~
ぐぐっと見上げる角度に立ちはだかるのよね~

蝶ヶ岳からの山小屋の灯り・・
後、槍ヶ岳山荘と殺生ヒュッテだったかな?
確か、四つの小屋の灯りが見えた記憶があるんだけど?

「自然の厳しさへのあこがれと、人恋しさ」
確かに確かに。
しみじみ山を味わいたくて、人の少ないチャンスを狙うくせに、
誰彼となく捕まえては声を掛けてしまうのよね~・・・ (⌒~⌒;)
Commented by slow-trek at 2016-07-24 22:41
palletさん
あぁ、そうですね
確かに美しい星よりも、胸にグッと来ました
ま、それも、その時々の感情によるので
なんとも我儘なモノです^^;
技量なんて、なーんにも持ち合わせていません
ただ、そんな瞬間に居合わせたい、そう思って
いつも時期を狙ってるだけのことです^^
Commented by slow-trek at 2016-07-24 22:48
ルネさん
恥ずかしながら小梨平からの穂高、初めてでした
あの迫りくるような姿は圧巻でした。
四つの小屋の灯り、ですか?なるほど
画像で確認すると殺生も位置的には見えるかもしれませんね
この日は、殺生はもうクローズしてたはずです
槍も目視出来なかったし画像にも残ってませんねー
一度揃ったところ見てみたいものです^^
Commented by dahan at 2016-07-24 23:51 x
ちょこんとキタホの灯り、なんとも暖かそうでエエですねー。
こんな景色しばらく見ていないです。
ウインナー美味そうすぎる。

Commented by slow-trek at 2016-07-26 00:07
dahanさん

>ウインナー美味そうすぎる

ふふふっ
やっぱりそこですな^^
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