荒野にて

slowtrek.exblog.jp ブログトップ | ログイン

父の即席ラーメン

b0244811_17393076.jpg


懐かしきインスタントラーメンが手に入った

 「イトメンのチャンポンめん」 だ

この袋麺は、兵庫県以東では流通していないため *文末に訂正
大阪でも店頭では見たことが無かった

チャンポン麺と言っても、そこはインスタント、もちろん具は無い
ただ、子袋に干し海老と乾燥シイタケが入っているだけ
そして粉末スープ、記憶にある味は、薄めの塩味だったっけ

ひょんなことから手に入った、このラーメン
食べるのは、たぶん数十年ぶり?になるだろうか

さてさて、どんな味がするのだろう
あの頃と同じ味なんだろうか
 



b0244811_17404393.jpg


小学生の頃、我が家ではインスタントラーメンと言えばこの袋麺だった
何故なら、父が大好きだったのだ

典型的な昭和の頑固オヤジである父が怖くて
母にまとわりついては、台所に居座ってばかりいたオレに

 「男子厨房に入るべからず!」

なんて、子供にはワケの分からないことを言っていた父
自分はと言うと、母の不在のときだとか、土曜の深夜だとか
台所でごそごそしては、何か作ってたりしていた

それは、なんだか今の自分と似ているような気がしなくもない

そんな父の、何かを作っていたシーンの記憶は浮かぶのだが
それが何だったのかは、あやふやである
唯一、鮮明に覚えているのが、このラーメンだ

b0244811_1741121.jpg


あれは何年生の頃だったか、何故だか、父と二人っきりの休日
母はいつ帰ってくるのだろう?早く帰ってくれないかなぁ
厳格な父と二人きりの時間は空気も重く、昼どきになるとお腹も減ってくる
そんな気まずい空気の中、新聞を読んでた父が立ち上がり

 「即席ラーメンでも食べるか?」

なんだ、母は帰って来ないのかぁ、と落胆しながらも頷くと
父は台所に立ちながら

 「美味しい作り方教えてやるから、ちゃんと見てろ」

と、手馴れたようすで、鍋に水を張ると、沸かしてる間に
冷蔵庫から葱を出して刻み始め、卵を割ってお椀に落とす

卵?ラーメンに卵入れるんだろうか?

b0244811_17422448.jpg


 「麺をゆでる時は、多目のお湯で茹でるのがコツや」

と、やや大きめな鍋にたっぷりな量のお湯に麺を入れる
そして、数分茹でると、丼に麺だけ器用に入れて、そこに
ちょうどいい量だけお湯を入れ、粉末スープと小海老を入れて混ぜる
最後に、卵をかき混ぜながら、ゆっくりと、そろぉりと、丼に回しながら乗せる

 「卵はな、優しぃーく、の、の字を書いて乗、せ、る」

慎重に卵を乗せると、葱を散らして、丼に蓋をする

お湯の量、スープと具を入れるタイミング
なんだか、いつもの母の作り方とぜんぜん違うぞ?
だいたい、卵の入ったラーメンは食べたことが無いし
それに、父の作業はひとつひとつが、手早くて、まるでお店の人みたいだ
なんてことを思いながら、何十秒か待たされた

 「よし!もう食べていいぞ」

b0244811_17483929.jpg


 「美味しいか?ん?やっぱりお母ちゃんの方が美味しいか?」

丼に集中しながらも、どう答えていいのやら
父の視線を意識しながら、卵とじの下から麺をすする

 「あ、こっちのほうが美味しい!」

初めて食べた卵とじラーメンの美味しさに
子供ながらにお世辞を言ったワケでもなく、素直に出た大声に
父は嬉しそうな顔で、オレの頭をぐりぐりしながら言ったっけ

 「やろぅ?でも、お母ちゃんには言うなよ」

もう会えない父との会話を想い出しながら
数十年ぶりのラーメンをすする

b0244811_1750244.jpg


あぁ懐かしき味、美味しいぞ
やや薄めな塩味に、干し海老とシイタケの香りが残る
シンプルながら、しっかりと味のあるスープ

そんな懐かしき香りの湯気に包まれながら、ふと思う

オレのインスタントラーメンの作り方って
小学生のあの日、父に教わった作り方、あのスタイルのままなんだよなぁ

なんだ、今になって気付いたよ

麺をすすりながら苦笑いしてると
湯気の向こうに懐かしき笑顔が見えた気がした


ブログランキング・にほんブログ村へ
■RANKING■


[訂正:追記]
このイトメン社のチャンポンめん、兵庫県より東には流通していないと思いこんでいたが
人気ブロガーであり、山友でもあるmomoさんによると、なんと石川県は全体の30%もの
シェアを持つとのことだ、何故に石川県なのか?不思議ではあるが興味深い事実である
と、同時にその昔(幸福の銭)としてオマケで入っていた五円玉を今も後生大事にお宝として
持っていたmomoさんの事実も興味深く(笑)だからこそ、あんなに素敵な奥様とご縁が
あったのだろうな、なんて勝手にオチを付けているのである
(・∀・)キュンキュン





 
by slow-trek | 2016-06-13 22:22 | 断想 | Trackback | Comments(15)
トラックバックURL : http://slowtrek.exblog.jp/tb/25908930
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by 単独行 at 2016-06-14 09:09 x
スロトレさん、僕の親父は「男子厨房に入るべからず」じゃなくて、全く何にもしなかったですね。
親父が台所で何かをしてるのを全然見たことがありません。
ただ、強く印象に残っているのは母が晩御飯がカレーの時に、ルーを入れる前に少し小鍋に取り分けて味付けし、親父の晩酌の肴の一つとして出していたことです。
この1年で二人とも亡くなってしまいましたが、これを読むと思わず記憶が蘇ってきました。
Commented by ルネオバ at 2016-06-14 10:06 x
あ~・・
単独行さんのコメント、じんときました・・
小鍋に取り分けるお母さんの手元が浮かんできます。
傍らでそれを見ている単独少年(?)の姿も想像できます。

え?肝心のスロトレさんの想い出は・・って?
そりゃあもう!!
あの美の極致とも言えるインスタントラーメンには、そんな謂れがあったんですね・・

で?葱の散らし方にもこだわりが感じられます。
やっぱり、の、の字、なんやろね~?(* ̄∀ ̄)ノ"
Commented by 風花 at 2016-06-15 10:45 x
おお、イトメンのチャンポンメンですねえ。
好きです。即席ラーメンの中では、一番好きかもしれない。
ちょっとお高いのですが、忘れた頃に食べてます。

母が留守のとき、父が煮込みうどんを作ってくれました。
多分、ほんの1、2度だったと思うのだけれど、
あのシーン、あの味、半世紀以上経つのに、いまだに思い出します。
Commented by cyu2 at 2016-06-15 12:53 x
もう~~
またスロさんに泣かされた(ノД`)・゜・。
じーーーーん。。。

と思ってたらたまたま昨日立ち寄ったMIURAYAで、
このメーカーのだと思うのですが、ラーメンより小ぶりな丼型のプラにはいったインスタントワンタン?発見!
初めて見た!
そういう商品ありますか?
偶然過ぎてうるうるからニヤニヤに変わっちゃった。
Commented by cyu2 at 2016-06-15 12:56 x
あ、肝心な事を・・・
そのパッケージにたしか「つるつる、ぺろ~ん」
って書いてあって、「ぺろ~ん」って・・・(´Д`)
とツッコみたくなったのでした。
Commented by slow-trek at 2016-06-16 22:50
単独行さん
なんだか、そのご両親の感じが浮かんできそうです
なんてことのないシーンかもしれませんが
そんな小さな想い出が残ってるのは幸せなことかと。
カレーで晩酌・・・いいですね。
Commented by slow-trek at 2016-06-16 22:52
ルネさん
単独少年って・・・^^
卵はのの字と教わりましたが
葱は特に言及してなかったかと^^;
ちなみに私は、えいやっ!って投げるだけです
Commented by slow-trek at 2016-06-16 22:55
cyu2さん
なんと!さすがMIURAYAですねー
兵庫県のマイナーメーカーの商品まで有りましたか
ちょこっと調べたら、カップのワンタンありましたよ^^
「つるつる、ぺろ~ん」いいじゃないすか
なんだかワンタンを表現し尽くした感が出てませんか^^
しかしcyu2さん、こんなネタで泣いてるようじゃ
ずいぶん涙腺弱ってますよーん
(・∀・)キュンキュン
Commented by slow-trek at 2016-06-16 22:59
風花さん
あぁ老師まで、そんな思い出を^^
人は人を想うもの、なんですね
いいですね、お父さんの煮込みうどん・・・。
ところで!なんですか?この麺をご存じ?
ってことは、東海エリアでは販売してるってこと
でしょうか?そーだったんですかぁ
西日本だけかと思ってました
また欲しくなって来ました^^;
Commented by MOMOパパ at 2016-06-17 23:32 x
訂正ありがとうございます。

てゆか、
すてきなエピソードにケチを付けているだけ
だったような。すまそ。

ちなみに、
イトメンの二八そばも結構おいしいです。
Commented by slow-trek at 2016-06-18 01:09
MOMOパパさん
いえいえ、こちらこそ大変興味深い事実でした
しかし、何故に石川県なんでしょうね^^
食に一家言持つMOMOさんも、この即席麺が
ソウルフードだったと知って、なんだか嬉しいですよ
ってか、二八そば?未食ですよそれ、うぅ悔しい^^;
Commented by hawks-oh-muku at 2016-06-19 00:18
ご無沙汰しております。
多忙を理由に最近は山歩きから遠ざかっており
コメントを控えておりましたが、イトメンのチャンポンメンが
出てきたら黙っていられなくなり出てまいりました。
思い起こせば13年前単身赴任の始まりが播州竜野でありまして、
ラーメンといえばイトメンのチャンポンメン、立ち食いといえば
姫路の駅そばです。確かに兵庫県でも播州に西播地区にのみ君臨する
イトメンのチャンポンメンですが、石川県の誇るまつやの万能だしとり野菜鍋
とのコラボ商品、とり野菜みそラーメンがあるのをご存じありませんか?
カップ麺ですが、めっちゃ旨いです。
残念ながら、イトメンのチャンポンメンは青森では手に入りませんが、
このコラボ商品は、半年ほど前に一度入手しました。
石川県民熱愛グルメとり野菜味噌とコラボが出るほど、石川県でイトメンが
認知されているということだと思います。
まぁどうでもいいことですが、イトメンのチャンポンメンに思わず前のめりに
なるくらい反応してしまった次第です。
Commented by slow-trek at 2016-06-19 23:21
hawks-oh-muku さん
お忙しそうですね、たまには山を歩くくらいの
余裕があればあればいいのですが・・・
とり野菜鍋は知ってますよ!関東でも売ってます
でも、まさかそんなモノとチャンンポンめんが
コラボしてるなんて、なんだか驚きです
チャンスがあれば、ぜひ試したいと思います
しかし、hawks-oh-muku さん、前のめりのなるほど
チャンポンめんラブなのですね、なんだか嬉しいです^^
Commented by culuzou at 2016-06-23 09:41 x
はじめまして。
私、横浜に在住しております。
近所の食事処に「ちゃんぽん麺」というメニューがありまして、「長崎ちゃんぽん」だと思い注文したところ、ちゃんぽんにしては色の薄いスープに細いちぢれ麺、茹で卵と海老や野菜の具材の物が出て来て、
私「えっ!すみませこれちゃんぽんですか?」
店「はい、ちゃんぽん麺です!」
私「…そうですか…」
でも、食べてみるとやや薄味だけど美味しかった!
ちゃんぽん麺?お店のオリジナルかなぁ?
と思っていたのですが、どうやら「イトメンちゃんぽん麺」これが元のようですね。
今度、お店の方に伺ってみたいと思います。
Commented by slow-trek at 2016-06-23 22:40
culuzouさん
こちらこそ、初めまして
横浜の、ちゃんぽん麺ですかー、それが薄いスープに
ちじれ麺?それはそれは興味ありますね^^
イトメンのものがルーツかどうかは分かりませんが
なんだか、すごく食べたくなりました^^
情報ありがとうございます
line

山行記録と山にまつわる物語


by slow-trek
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite