荒野にて

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遥かなる稜線 飯豊山(後)

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■山行日:2015年9月19日(土)-21日(月)
■山:飯豊連峰
■目的:憧れの稜線を行く
■ルート:祓川駐車場(07:50)-三国小屋(13:00)-切合小屋(16:00)
     切合小屋(07:30)-本山小屋(09:50-10:30)-御西小屋-本山小屋(14:45)
     本山小屋(05:50)-切合小屋(08:00)-三国小屋(10:00-10:30)-祓川駐車場(14:50)


SWの混雑具合は北アルプスだけではなかった
こんな、みちのくの山の上でも
小屋難民に近い状態があった

この本山小屋でも、下にある水場に通う人たちの表情は曇ってて
「テントはいいねー、小屋はもう地獄みたいだよ」 なんて声も聞いた
どうやら、そのぎゅう詰め具合は、トイレに立つどころか
ザックの荷物さえ出せなかったそうだ

気の毒だけど
だからこそのテン泊登山なのだ

ほら、こんなステキな夜空があるんだもの




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テン場が寝静まると空を見上げる
一番贅沢な時間、星空ウィスキー

足元には嬉しくない街の灯りが燈る
こんな大きな連峰でも、こうして街の灯りが見えるのだ

ちょっと残念だけど、見知らぬ、みちのくの街の灯りと天の川
なんだか遠くへ来たな
ウィスキーの酔いと共に、そんな想いに胸が満つ時間も悪くない
 
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初日に一日中降り続いた雨
二日目に夕焼けまで続いたガス
そんなもの、すべて忘れさせてくれるような美しい夜明け

震えるほど美しい朝をふりきるように、テントの撤収すると歩き始める
今日は、一気に下りきらなければならない

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足元には喜多方の街を覆い尽くす雲海に、磐梯山の双耳峰が宙に向かって尖る
そして吾妻連峰
あそこから、この連峰を望んでいたのは一年前
あれから一年経ったのだ
あの御岳噴火の、あの日あのとき歩いた一切経山、今は噴煙を高く上げ、もう歩けない

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下山は、昨日の夕方までその姿を見せなかった大日岳を振り返りながら
後ろ髪引かれる想い

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振り返り
振り返り
いつか、あの遥かなるピークに立てる日が来るのかと

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切会小屋まで戻ると、小屋前にある豊かな水場でひと息

小屋番さんと常連さんが、楽しそうに歓談中に割り込んで少し話させて頂く
ガスに負けて、小西小屋から引返したと話すと、小屋番さんたちいわく
飯豊は大きいから、本山だけでも行きたいときに行ける山では無いと
三回目でやっと登頂できた、なんて地元の人でも、いくらでも居るんだと

  だからな兄さん、また来い。飯豊は待っててくれるべ。
  んだ。

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気のいい東北人たちに見送られてアップダウンの下山路へ急ぐ
振り返れば、大日岳
こんな素晴らしいテン場だったのかと、改めて雨とガスを呪った

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いくつめかの小ピークから見下ろすと、西方向にも雲海が湧き上がっていた
そして、小さな小さな小屋が、その雲海にぽつんと浮いている
あの、三国小屋だ
一昨日はガスに埋もれて分からなかったけど
なんて素晴らしいロケーションだろうか

通り過ぎるだけの小屋だって?いやいや、こんな小屋ぜひ一度泊まってみたいものだ
そのことを、昨日の小屋番さんに伝えたくて帰りも立ち寄ったが不在だった

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三国峠からのアップダウンも激しく、特にアップ(登り)の苦しさは、三日目の足腰に堪えた
それでも、下山の「新ルート」は、尾根の右側、樹林の合間から
ときおり大日岳が覗き、角度が変わって見える度に、その大きさに魅せられた

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昨秋、吾妻連峰周回したとき、弥兵衛平小屋の薄暗い二階のことだ
地元の中高年グループの宴もたけなわ、民謡の一節が終わり、ささやかな拍手の後
お開きの片付けとともに、話題はおらが郷の山になり

 やーっぱり、山は飯豊だ。飯豊ほど大きくて深い山はない。
 山は飯豊に始まり、飯豊に終わる。

それに応じる、いくつもの「んだんだ」

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その場の空気が、なんとも言えず
皆さんが言う飯豊山も知らない上に
このみちのくの地に自分はひとりきりなんだ・・・

と、郷愁のようなものがどんどん胸に広がってゆき
未だ見ぬ峰々に想いを馳せたのだ

あの夜の、いくつもの「んだんだ」 に、少し仲間入り出来たような気がして
それが嬉しくて、最後の最後まで大日岳を見上げながら下山した

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by slow-trek | 2015-10-09 00:10 | 東北[朝日・飯豊] | Trackback | Comments(16)
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Commented by cyu2 at 2015-10-09 07:43 x
雨とガスで何も見えず、苦行のような時間を超えてきたからこそ、
雲が切れて見えた山々のあまりの大きさに、
心震わすことが出来るのでしょう。
最初から全貌を知ってるより、何倍も感動は大きいはず‥
といつも心からそう思ってます(自分に言い聞かせる雨オンナ^^;)

いーなぁ、飯豊(・∀・)
Commented by tabi-syashin at 2015-10-09 09:10
>いくつもの「んだんだ」 に、少し仲間入り出来たような気がして
それが嬉しくて、

仲間な ちょぺっこな(笑)
東北の訛りが理解できただけでも てえしたもんだべ!
津軽 秋田に出向いでいったら 皆目見当つかねど

いーべぇ、飯豊  
んだ んだ~ んだべ んだんだ んだっぺよん
朝日もいいどぉ きてけらい  
Commented by GRI at 2015-10-09 16:42 x
想像以上に大きくて雄大で、そしてきれいな山ですね~飯豊山は!
また行きたいお山が増えました。
そうそう、今年のSWの飯豊山は今までなかった程混んだそうです。
山小屋のキャパをはるかにオーバーし、小屋番さんがテントで空きスペースがある人を探して、溢れた人を泊めてくれるようお願いして回ったとか・・・。
スロトレさんのとこには来ませんでした? かわゆいソロの山ガ (^。^)
Commented by akko-kornblume at 2015-10-09 17:46
行きたいね〜飯豊♡

大きな大きな山だから、
どこから入山すればいいのか迷って迷って、
なかなか行けずにいます。
いつか色々教えてね(^-^)

素晴らしい眺め、
振り返り振り返りしちゃうよね。
それにしても飯豊も難民が出るほどとは^_^;
やっぱりテント担いで行かなきゃだわね。
Commented by ruonick at 2015-10-09 23:08
んだんだ!!!

テン場のロケーション本当にいいですね!
星空も綺麗♡
飯豊さえも混雑だなんて恐るべしSW…
街の灯りが見えない山、私も好きです♡
水晶とか赤牛ちゃんとかわっしーとか蝙蝠とか、街見えませんでしたかね?!
山奥に来たぁー!って実感できていいですよね(≧∇≦)

通り過ぎるだけの小屋って悲しい表現ですよね…
スロトレさんの言葉、小屋番さんに届けばよかったのになぁ。
Commented by lp-instinct919 at 2015-10-11 20:24
初めまして、お疲れ様でした

20日朝、大日杉から入山して切合でテント泊し翌日大日往復しました
テン場でニアミスしてますね☺
私達も初飯豊山、幸運にも好天に恵まれて大日まで往復できました
また、来期は花の季節にトライしたいですね(^-^)
Commented by slow-trek at 2015-10-14 06:15
cyu2さん

>最初から全貌を知ってるより、何倍も感動は大きいはず

おおっ先輩^^
そですね、cyu2さんの数々の雨ガス物語に比べたら
こんなの降ってるうちに入りませんよね
(って、よく分からん持ち上げ方ですが^^;)
でも、ほんとその通りです、雨ガスからふっと現れた
一瞬の青空の感動的なことったら
そんな劇的な瞬間が山の魅力ですね
飯豊、ぜひとも
Commented by slow-trek at 2015-10-14 06:15
tabi-syashinさん

>んだ んだ~ んだべ んだんだ んだっぺよん

すみません
上級者向けなようで、その違いまでは理解できません^^;

そうそう、そうなのです
来年は朝日連峰、そして岩手に・・・
Commented by slow-trek at 2015-10-14 06:16
GRIさん
そうなのです
切合も、本山も、こんなに混んだのは初めてだと
そうおっしゃっていました
特に本山の方は、小屋番の方は一人だったので
受付だけで大変な様子が伺えました
え?
山ガール?
そんなのぉ来てくれたら、私がテントの外で
寝てでも大歓迎です(って何言わせますのん^^;)
Commented by slow-trek at 2015-10-14 06:16
矢車草さん
ですよねー、大きすぎてどっから手を付ければ
いいのやらん、な山です
今回は一番ベーシックなプランですが
このまま北上する手もありますよ
一緒にいろいろ研究しましょう^^
Commented by slow-trek at 2015-10-14 06:17
ゆなさん
でしょ?いくら有名なお山だとしても
アプローチとか考えると、こんなにも
混雑するとは思えませんでした
街の灯りね、あれを遠くに見下ろすのも
悪くないな、って初めて思いました
でも基本は、そんなものも届かないほどの
山深いところが好きです^^
三国の小屋ね、ほんとステキなロケーションだし
可愛くて清潔で、素晴らしい小屋ですよ
Commented by slow-trek at 2015-10-14 06:19
lp-instinct919さん

こちらこそ、はじめまして
あぁ、じゃどこかですれ違ってますね
lp-instinct919さんの日程が、この連休では
一番ラッキーな方たちかと^^
大日も歩かれてるのは、羨ましいかぎりです
私も、花の稜線を歩きたいと思っています^^
それにしても画像のクオリティの高いサイトですね!
見とれてしまいました・・・
コメントありがとうございます
Commented by pallet-sorairo at 2015-10-18 12:43
こんにちは~
飯豊に行っできましたか!
私は初めて行った時は梶川尾根を上って川入へ下山しました。
飯豊山荘前泊で門内小屋・本山小屋へ泊ったんだと思います。
ここもいいコースでしたよ。
本山小屋は今の小屋を建て替える前のいかにも古びた大きな小屋で
夜中のもの凄い風で倒壊するのではないかと思ったのを思い出しました。
7月中旬まだ少し雪が残っているころ、ここで初めてヒメサユリを見たのでした。
いま久しぶりに地図を引っ張り出したら94年版だったので
ほぼ20年前に行ってたみたい、懐かしいです。
その後何年かして、川入~本山ピストンをしたのですが
大日岳と朳差岳に行きそびれてしまったのが心残りです。
鍋釜夜具持って歩くのはもう無理だなぁ。
Commented by slow-trek at 2015-10-19 07:11
palletさん
梶川尾根からですかー、シブいルートですね
20年前だと、きっと今よりもずっと静かな
山だったのではないでしょうか
大日岳、行きそびれてるのなら、また行かなければ^^
鍋釜持ってかなくても、可愛い小屋を繋いで
縦走できますからね~、20年ぶりの遠征、いかがですか?
しかし
飯豊もいいけど、おフランス!?
これも羨ましいですよーpalletさん♪
Commented by まつおの母 at 2015-10-20 00:47 x
んだんだ、んだべ〜、飯豊はいいところだっぺ(エセ東北弁…と言うか茨城弁^^;)飯豊はいいで〜←私はこの言葉に洗脳され続け数年…ようやくあの山に入る事ができました…って言っても基本を歩いただけなのですが…素晴らしい、美しい山脈でしたね…三国岳避難小屋…夕暮の稜線に御西小屋がぽつんと浮かび、素晴らしい眺めでした。通り過ぎる小屋にするのは確かにもったいないですね!!

私達が泊まった前日はやはり大変な混みようだったようですがε-(´∀`; )ふははっ

しかし、一体全体どちらですれ違ったんでしょうね〜(*_*)鎖の辺りでしょうか…ね?
Commented by slow-trek at 2015-10-22 06:40
まつおの母さん
いやいや、ほんとSWで一番美しい夕焼けの日に
三国避難小屋にいたのはラッキーでしたねー
うらやましいかぎりです
何度思い返しても、あの朝すれ違った人は
そんなに何組もいなかったはずです
なぜ気づかなかったのでしょ^^;
またどこかのお山で!
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山行記録と山にまつわる物語


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