荒野にて

slowtrek.exblog.jp ブログトップ | ログイン

遥かなる稜線 飯豊山(前)

b0244811_2373167.jpg


■山行日:2015年9月19日(土)-21日(月)
■山:飯豊連峰
■目的:憧れの稜線を行く
■ルート:祓川駐車場(07:50)-三国小屋(13:00)-切合小屋(16:00)
     切合小屋(07:30)-本山小屋(09:50-10:30)-御西小屋-本山小屋(14:45)
     本山小屋(05:50)-切合小屋(08:00)-三国小屋(10:00-10:30)-祓川駐車場(14:50)


飯豊連峰
いくつもの支尾根といくつもの稜線が重なり、いくつものピークがある
その雄大な山容から、東北アルプスと称される飯豊連峰
山の大先輩からその雄大さは何度も聞かされてはいたが
昨年の秋、吾妻連峰を周回したとき、その山影の大きさに魅せられてから
いつか必ず歩こうと決めていた山

この秋、その時が訪れた

雄大さゆえに、東西南北から様々なルートがある
が、ここは自分にとって何もかもがアウェイなエリアだ
最もポピュラーなルートとしよう

そうやって決めたのは、弥平四郎ルート
メインは飯豊山、そして最も標高の高く、存在感のある大日岳

1年ぶりとなるテン泊装備を蓄えたザックを載せて東北道を北へと




b0244811_238348.jpg


夜明けと共に行動するつもりが、深夜、それも雨の中
弥平四郎の集落から先、4キロのダートドライブで
疲れ果てたカラダは起きてくれない
やっと行動開始したのは8時前、この祓川から二つあるルートのうち
選んだのは新長坂ルート、駐車場からは沢に下り、ブナの巨木を縫って進む
 
b0244811_23103563.jpg


歩き始めてすぐのことだ
ぽつり、ぽつりと落ち始めた雨は、本降りへと変わる
レインンスーツを着込むと、1年ぶりのザックの重さと雨に不安を覚える

b0244811_23111340.jpg


カメラも出せず、黙々と歩くだけ、思ったよりも気温が高く
雨の湿度と併せて不快指数は100%オーバー
おまけに、2~3箇所、トレイル自体が流され、あるいは大きな倒木で
迂回を余儀なくされるが、その迂回路がけっこう厳しかったりする

雨さえなければ、ガスの中、幽玄なブナ林を歩けたのに・・・
歩き始めから、ボヤき、恨み、疲れ、3時間たった頃やっと樹林を抜ける

細尾根の東側の谷底から沢の落ちる大きな音
西には、濃いガスの向こう、ときおり紅葉の姿が浮かぶ

相変わらず振り続ける中、疣岩分岐を過ぎ、アップダウンを超えると
ふっと視界が広がり、目の前に小屋が現れた
三国小屋のある三国岳はその名の通り福島、山形、新潟三県の県境にある
 
b0244811_7513726.jpg


小屋の中は整理され、大事に利用されていることが分かる
朴訥な感じの小屋番さんも親切で、少し休憩させて頂いた
綺麗な小屋ですね、と声をかけると
「まぁ、しょせん通過するだけの小屋ですから」 と照れ笑い
確かに、立地的にはその通りだろう、でもこうして雨に打たれた登山者たちを
優しく守ってくれているのだ、その存在はとてつもなく心強いものだ

b0244811_752176.jpg


小屋を後にすると、やっとガスが晴れ始め
目の前には紅葉のトレイル
少しモチベも高まるが、雨は相変わらず叩きつけて来る

何度も繰り返すアップダウンに、膝も腰も悲鳴を上げ
これ、大丈夫だろうか?と不安になった頃、本日の宿泊地だ
切合小屋は人で溢れ帰りカオス状態、受付を済ませ、設営だ
雨の中のテント設営なんて何年ぶりだろう

b0244811_7531279.jpg


意外と暖かな一夜を過ぎる、朝は未だ小雨が残っている
左膝のダメージが回復しない
そんな状態で、ノロノロと撤収&パッキングを終えると
やっと上がった雨、しかし濃いガスは居座り続けている
さて、クサっていても仕方ない、歩こう

  今日は倒れた旅人たちも
  生まれ変わって歩き出すよ

b0244811_7555286.jpg


一瞬、目の前に何が現れたのか分からず、放心状態で立ち尽くす
カメラだ!と慌てて用意をするも、もうその姿はガスの彼方
あれが、あれが飯豊山だ、もう他に大きなピークは無い、あれが飯豊だ

b0244811_7572278.jpg


草履塚なる、そのピークは1908m、大きな山だけど、2000に達しないのだ
そこから100mほど下りきると、御秘所と呼ばれる岩稜だ
ちょとした鎖場でもある、その御秘所からも、一瞬東側の紅葉が覗く
が、ガスは一向に去る気配が無い

b0244811_7584320.jpg


岩稜を超えると、なだらかな尾根、そしてときおり覗く飯豊山

あぁ、何だこれ
雨は上がっても、こうやって少しだけしか展望は与えられないのか
ヘコんだ心に追い討ちをかけるように、御前坂は長く長く長く、そして長く
永遠と続くかのようなダラダラとした登りが続き、いい加減嫌になったころ
砂礫に岩がゴロゴロとした平地に、指標がぽつんと立っていた

b0244811_801948.jpg

 
指標は直進で本山神社、右が水場とある
ガスで真っ白な状態で、緩やかに詰めて行くと、そこが本山小屋だ
テン場の受付を済ませ、小屋番さんに、今から大日岳ピストンは可能だろうか?
と相談すると、戻るのは、16時を過ぎるので、ヘッ電は必ず持って行けとのこと

ガスガスな中でテント設営し、ほぼ空身になって歩き始める
と、やっと紅葉のピークが現れた、なんだか遠かったよ飯豊山
空身なのに、左膝を庇う歩き方、ピークを踏む頃にはまたガスの中だ

b0244811_814457.jpg


ここからの稜線の美しさ、それが飯豊連峰の魅力なのに
なんだよこれ

b0244811_82461.jpg


もう、歩き続けるモチベは全くなくて、左膝も痛くて、何度も引き返そうとした
でも、歩いていると、きっとあのガスの向こうに大日が現れる
そう願ってガスの中を黙々と歩き続けた

が・・・御西岳を過ぎて、御西小屋の前のベンチに座り込むと
何かがキレた。もうダメだ。ここから往復3時間?真っ白な中を歩き続ける?
ダメだ、もうやめよう、飯豊を踏んだだけでいいじゃないか

小屋前では皆さんダウンを着込むほどの寒さの中
カラダが冷え切るまでガスに包まれたまま座り続け、そして腰を上げた

b0244811_833170.jpg


さ、戻ろうか。

b0244811_852118.jpg


御西岳のトラバースをとぼとぼと過ぎた辺り、最後に一度振り返るけど
会いたかった大日岳は、その影すら見えなかった

ヘコんだ気分のまま、飯豊本峰への登り返しへ取り付いたとき
すっとガスが消えた、それはまるでマジックのように

b0244811_86252.jpg


谷に残る雪渓も、今朝から歩き続けて来た稜線のアップダウンも、飯豊本山もだ
今まで隠れていたものが、全てガスの中から現れ始めた

b0244811_1958665.jpg


もしや!?
と、振り返るが、西方には相変わらず濃いガスだけ、やはり大日は影すら見えない

b0244811_200620.jpg
b0244811_2004045.jpg


テン場に戻ると、テント内でフカフカに戻ったシュラフに飛び込み
缶ビールで一人乾杯をして膝を労わってやる

b0244811_203249.jpg


バゲット&ベーコンシチューで3本目の缶ビールを飲み干す頃
テントから身を乗り出すと、ピークを残して、大日岳の中腹辺りが現れていた

どうやら、これから素敵なショーが始まりそうだぞ
早くもウィスキーを取り出すと、その時に備える

b0244811_2033999.jpg
b0244811_23112943.jpg


そして、その時はやって来た

b0244811_738231.jpg


空を茜色に燃やした夕陽がさらに傾くと
テン場の奥にあるチングルマの果穂たちが、真紅に燃え始めた

b0244811_2041380.jpg


この一瞬だ
一瞬で世界が変わる、このときを過ごすために歩いているのだ

b0244811_2045182.jpg


自分の心の奥底まで紅く燃やしてくれ、とばかりに
完全に陽が落ちるまで
遥かなる稜線、その向こうに聳える大日岳を睨んでいた


ブログランキング・にほんブログ村へ
■RANKING■

by slow-trek | 2015-10-06 23:52 | 東北[朝日・飯豊] | Trackback | Comments(10)
トラックバックURL : http://slowtrek.exblog.jp/tb/24968992
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by dahan at 2015-10-08 04:23 x
こんな一瞬に出合えたら疲れも吹き飛びますね^^
Commented by chidorigo at 2015-10-08 07:10
美しい……
魅せてくれますね、飯豊
Commented by まつおの母 at 2015-10-08 08:04 x
1日違うだけで全く違う風景が^^;ふふふっ私達が切合に着いた夕暮れは素晴らしかったです♪しかし始点の標高が低いので稜線上がる迄がガスガスで蒸し蒸しで辛かったのですが(~_~;)悪天候の後の一瞬にして好天へと変わる風景、それもまた山の良さ、醍醐味ですね!!次の日の朝は素晴らしい景色を見る事ができたでしょうねo(^▽^)o
Commented by tabi-syashin at 2015-10-08 20:38
おお、偶然に???おなじ飯豊山のアップですね。もう小屋番は今季の務めを終え山を下りました。そういう季節になったんですね。あと10日もすれば・・・白い季節、雪の飯豊に生まれ変わる。

五穀豊穣と飯豊山の関係に触れることができて 今年は良かったですね。
Commented by slow-trek at 2015-10-08 22:50
dahanさん

はいなっ、疲れも昨日の雨も吹き飛びましたよ^^
Commented by slow-trek at 2015-10-08 22:50
chidorigoさん

翌朝はもっと美しかったですよ、飯豊^^
コメントありがとうございます
Commented by slow-trek at 2015-10-08 22:52
まつおの母 さん

たぶんですね、まつおさんちの入山が一番
タイミングが良かったことでしょ(ちぇっ^^;)
ブログ楽しみにしてますね
しっかし、どこですれ違ったのかなぁ
残念ですねー
Commented by slow-trek at 2015-10-08 22:53
tabi-syashinさん

あらま、そうなのですか
ゆっくりと拝見させて頂きますね
そうですね、この連休が明けるともう初雪ですね
早いものです・・・
Commented by ruonick at 2015-10-09 23:02
ぬお!!!
飯豊!!!!!
先日、栂海山荘で出会った超人に飯豊をすすめられました!
いぎだい!!!

サンセットショー最高じゃないですか(≧∇≦)
めちゃくちゃキレイ!!!
やっぱり山は泊まるに限りますねぇ(*^_^*)
夕焼け、星空、朝焼け…大好きです♡
Commented by slow-trek at 2015-10-14 06:14
ゆなさん
栂池山荘って!!!?
あの栂池新道走破したってことですね?
やりますねー、このこのっ(^^;)
で?そこで勧められたのですか
そりゃ、飯豊にいぐしかねって^^
line

山行記録と山にまつわる物語


by slow-trek
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite