荒野にて

slowtrek.exblog.jp ブログトップ | ログイン

神宿る山 月山(後) 

b0244811_23213764.jpg

 
■山行日:2015年08月01日(土)-02日(日)
■山:月山
■目的:行くぜ、東北
■ルート:リフトトップ(08:50)-姥ヶ岳(09:40)-山頂(11:30)-仏生池小屋(12:20)
     仏生池小屋(06:00)-山頂(07:30)-リフトトップ(09:30)

ほろ酔いでぐっすり眠れた朝
朝食をオーダーした時間は何故か自分ひとりだけ
なのに、キッチンからは、何かを炒めてる音がして「お待たせしましたー」
なんと、オレ一人のために焼き立ての目玉焼き&ウィンナーだ
そりゃ、美味しいに決まってるよ

この小屋のホスピタリタィは素晴らしい
 



b0244811_23244554.jpg


ご馳走さまの後は、ゆっくりとお茶を啜りながらボーっとしてると
小屋のお兄さんは玄関口で、バタバタと忙しく、何度もドアを開けては真っ白な外見る
しばらくすると、遠くから何か聞こえ始める、何だ?法螺貝だ

お兄さん、「来たっ!」と素早く玄関を全開にすると、いくつもの茶碗を並べ
ストーブの上でしゅんしゅん鳴っているヤカンからお茶をついで行く

b0244811_23255850.jpg


やって来たのは白装束の修験者たち、先達の方が大きな声で挨拶をすると
次々と後続の者たちが土間でお茶を飲み、朝雨に濡れ震える体を癒しては出て行く
80名の修験者たちは、俊敏に入れ替わり立ち代り、一休みした者はすぐに歩き始める
その静かなる振る舞い、濡れそぼる白装束、遠く鳴り響く法螺貝の音に
玄関から見える濃いガスの向こうから、何か厳かな空気が流れて来るような気がする

b0244811_23442571.jpg


大峰山系で修験者たちとすれ違うことに慣れているが、何故かこの朝の
荘厳な空気に惹かれ、修験者たちを追うように、慌てて支度をして歩き始めた
彼らの後を追うと、何かあるような、そんな気がして

b0244811_23264629.jpg


昨夜の、山の神への祈りは叶わなかったようで
稜線は朝雨に濡れ、ガスに包まれたまま晴れる気配は無い

黙々と進んでいると、先を行く20数名ほどの修験者たちの脚が止まった

何だろう?何か儀式のようなものでもあるのだろうか?

b0244811_23273143.jpg


と、先頭の修験者が東に向かって手を合わせる
後続の者たちもそれに倣う
そして一列に並び頭を垂れる

b0244811_2328550.jpg


すると、東方のガスがいつの間にか消えていて、厚い雲の切れ間から朝陽が覗く

そのシーンに惹きこまれるように、慌てて東方に手を合わせる
雲はぐんぐんと流れ、青空と、足元に雲海が広がって行く

b0244811_23285759.jpg


たった1分ほどのこと、いや数十秒だろうか
その神々しいシーンに想った、この山には彼らにしか見えない神がいる、必ずいると

b0244811_2329317.jpg


素晴らしくも奇跡的な青空の下、魂を吸い取られたあとは
白装束の後姿が見えなくなるほど、ゆっくり朝露の中を行く

昨日は気付かなかったが、ちょっとした岩の重なる登り返しに
「行者返し」と記された指標が目に止まる、あぁやはり修験の山だ
と、カメラに収めていると、前方からやって来た4名の老ハイカーたち

 役行者が若い頃、まだ修行が未熟だっちゅうて、ここで戻されたべ

そう言って、謂れを教えてくれた、それが嬉しくて

b0244811_23302638.jpg


お礼がてら、近畿の修験道、大峰山系には、あまりの急峻さに
役行者が引き返したとされる「行者還岳」があって、そこは大峯奥駈道と呼ばれ
未だに女人結界門がある、なんて話をしてあげると、皆さん大いに喜んで頂いて

 「やはり役行者さまは凄いべ、日本中に伝説があるべな」
 「んだ、んだ」 

ネイティブ東北弁と関西のニセ東北弁で、神宿る山の空気に包まれて笑い合った
やはり、山好き同志、東西も世代もないよな

んだ、んだ

b0244811_2331244.jpg


行者返しから石畳の上に乗る、空は澄み渡り、足元には花が咲き乱れ、東方に雲海が浮く

あぁ、なんだこの美しさは

b0244811_23321858.jpg


稜線はどこまでもおだやかで、なだらかで、たおやかで

b0244811_21164882.jpg


その美しさは永遠に、空へと達しそうだ

b0244811_23325773.jpg
b0244811_23341981.jpg


深田久弥は何と言った?優しいと記したはずだ

 優しく それが月山である
 北の鳥海の鋭い金字塔と対照するように、それは優しい

確かに優しい
この稜線はどこまでも優しい
この美しさを優しさに喩えるとは、深田久弥はやはり詩人だ

b0244811_23334891.jpg


下山は牛首からのルートでショートカット
登ってくる人たちと、予報を大きくはずして晴れたことを喜び合って下った

b0244811_2335778.jpg


鳥海山も、飯豊連峰も、蔵王も、そして昨秋歩いた吾妻連峰も望めなかったけれど
東北の神宿る山
その聖なる空気に触れたことは胸に残るだろう 

まだまだ 行くぜ、東北


ブログランキング・にほんブログ村へ
■RANKING■

by slow-trek | 2015-09-11 19:57 | 東北[朝日・飯豊] | Trackback | Comments(12)
トラックバックURL : http://slowtrek.exblog.jp/tb/24877745
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by tabi-syashin at 2015-09-11 21:08
あぁ、なんだこの美しさは・・・
東北の人って 裏を持たない人が多いべ?

んだんだ

Commented by ルネオバ at 2015-09-11 21:16 x
相変わらず読ませますね~

> この山には彼らにしか見えない神がいる、必ずいる

あ~・・
その厳かな気配のカケラでも感じに行きたい・・
まだ見ぬ東北の山への想い、ますます募ります
もう、罪作りですよね・・

んだんだ
Commented by pallet-sorairo at 2015-09-11 23:25
月山、未踏なんだわさ。
やっぱり早いとこ行かなくちゃなんねえべ。
で、泊まるならこの小屋だべさ。

んだんだ
Commented by nikkor14d at 2015-09-12 03:58 x
何で修験道には、白装束に法螺貝がお似合いなんでしょうねぇ?

んだんだ
Commented by ruonick at 2015-09-13 04:59
>深田久弥はやはり詩人だ

スロトレさんのが詩人だと思いますーっ(≧∇≦)

んだんだ
Commented by slow-trek at 2015-09-14 08:00
tabi-syashinさん

いんやいんや、本場の人の言葉には
ついてけないべ

んだんだ^^
Commented by slow-trek at 2015-09-14 08:02
ルネさん

ふふっ、ルネ大先輩も未踏のお山に足を踏み入れる
これって実は嬉しかったりします
後で、ほくそえんでたりします^^
でもねー、やっぱ関西からは遠いですよ

んだんだ^^
Commented by slow-trek at 2015-09-14 08:04
palletさん

おやpallet大先輩も未踏でしたか
これは意外です
ぜひ、お花のシーズンに、小屋はもっちろん
仏生池小屋ですね!

んだんだ^^
Commented by slow-trek at 2015-09-14 08:06
nikkor14d

あの白がね、足先まで地下足袋の白って言うのが
何故か修験者っぽく感じられますね
あと、ほら貝と行者杖ですかね

んだんだ^^
Commented by slow-trek at 2015-09-14 08:07
ゆなさん

>スロトレさんのが詩人だと思いますーっ(≧∇≦)

いやいや
最近、ふとした時に百名山を読むのですが
ほんと詩人です、やはりフカキューは素晴らしいです

んだんだ^^
Commented by tukinobo at 2015-09-16 23:57
東京から、向こうは行ったことがないんだ、んだんだ。

東北のイメージはあまちゃんとマッサンのくまさんだ、んだんだ。

いつか行きたいな、佐渡とか、尾瀬とか、神さまのいる山とか
遠い山へ行きたいんだ、んだんだ。

うふふ。
Commented by slow-trek at 2015-09-17 00:22
yakoさん
ふふっ
yakoさんの東北イメージは朝ドラから成り立ってるのですね^^
ま、そんな私も、仙台ってどの辺り?くらいの
根っからの西日本人だったのですが、最近はちょっとだけ
東北つうに(ほんまかいな^^;)
いいでしょ、遠い山って
これからも行きますよ、遠い山^^
line

山行記録と山にまつわる物語


by slow-trek
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite