荒野にて

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青空、残雪、剱岳 春の唐松岳 

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■山行日:2015年03月28日
■山:唐松岳
■目的:立山連峰大展望
■ルート:八方池山荘(08:40)-唐松岳(11:50)-ランチ-八方池山荘(15:30)

一回目は2013年03月だった
山荘からの細尾根を詰めながら、こりゃダメだと思った
白馬からの風に、前を行くボーダーたちがバタバタと倒れて行くのだ
そのシーンを前に潔く撤退

二回目は2014年03月
この日は第二ケルンまではどうにか行けた、しかしその先は
一年前と同じ、また強風が吹き荒れ始め、泣く泣く撤退

三回目は今年、2015年03月だ
ここぞ!って言うタイミングで行くぞ!そう決めて挑んだが
八方尾根はそよとも風は吹かず、その代り真っ白な世界
ガスに包まれて、スネながらの撤退

そんなこんなで、四度目の正直
これでピーク踏めなかったら、もう残雪季の唐松は止めだ!
そんな覚悟で挑んだ




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クワッドリフトから降り立つと、もう鹿島槍の双耳峰が輝いてて
その姿にアイゼン装着ももどかしく

次から次へとリフトから降りてくるボーダー、スキーヤーが
ぼうっと山を眺めている自分を追い抜いて行くが気にしない

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このコンディションだ、今日こそ唐松まで詰めるのだ

2000mより上は青空、そんなヤマテンを信じ切って歩き出す
ときおり後方を振り返り、雨飾、妙高、戸隠辺りの鈍く輝く姿を睨む

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風が無いとこうも楽なのか、50分も歩くと雪に閉ざされた八方池
白馬三山が目の前に迫るように立ちはだかる

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第三ケルンを超えると、不帰のキレットが迫る

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八方池はまだ深い雪の下
この湖面にミズバショウが揺れ
白馬の姿が映り込むのはいつの頃だろうか

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稜線上から雪渓へと逃げてゆく山スキーヤーの自由気ままさが
何とも羨ましく、ただ口を開けて見上げるだけ

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下ノ樺
この尾根の特徴である、高山植物と森林限界の逆転現象
そのシンボリックな存在であるダケカンバが突然雪上に現れる

やっと腰を下ろす場所を見つけた春の登山者たち
一人、また一人と集っては一息入れている

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何故、人はこんな所でも樹の下で腰を下ろすのだろうか
それは、幾千年もの間続けられたヒトと樹の物語

ここからトレイルは東へと折れ、そして急登となる

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その長い急登に、息も荒れ、汗が滴り落ちる

それでも2週前のどこまでも白いガスの中とは違って
左右の展望を見比べながら、ときに青い空を見上げていると
汗さえ心地好くて

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丸山ケルンP2430で少し休憩

やっとだ
やっと丸山ケルンから先へ行ける

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 「お兄さん、撮ってやろうか?カメラ」

不帰を睨んでるところに声をかけてきた人の好さそうなオヤジ

 「あ、いやいや、そこの丸いボタン、あ、それじゃなくて、え?あー!」

・・・自ら申し出たクセに、カメラに疎いようで、雪上に落とす始末

おかげで、そこからレンズの状態がおかしいし、撮ってくれた画像はこれだ

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オヤジめ

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4度目のチャレンジ、そのゴールが見え始めた
いや、ナツヤマは歩いている、でもこの季節に歩きたかったのだ

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扇雪渓にシュプールを描いて行く山スキーヤー
空にはひこうき雲
鹿島槍からの冷たい風

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細尾根に一直線に並んだ登山者たちは
足並みを揃えたかのように、一歩一歩、最後の詰め

この八方尾根に集った春の登山者たち
その全てが、空へ、空へ近づいて行く

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そして視界は一気に広がる

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これだ
この立山連峰の姿を望むために
そのために、ここに立ちたかった

思った通り足元の残雪は風に飛ばされた跡
視界いっぱいに広がる剱岳

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しばし脚を休め、展望に魂を吸い取られ
ふっと我に返りピークへ進む

雪庇で細尾根と化したトレイルは、登り下りが絡み合い
トレースがどんどん崩れてゆく

そしてピークだ
ここから正面に見る剱岳の姿は、更にエッジが効いたカンジ
どうだ、このカッコいい姿!

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見とれてるうちにピークは晴空と立山の展望に熱狂する登山者で溢れんばかり
お互いの感動を分かち合う姿は、観てる方まで嬉しくなるが
剱の正面で自撮り棒を振り回すバカヤロー達に辟易とし、そそくさと撤収だ

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唐松山荘までトラバースし、まだ雪に埋もれる小屋の上でごろん
見上げると青空、目の前には劔岳

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ピークで気分を害したことなんて一瞬で忘れ去り
誰もいない場所で、展望独り占めでランチ

テン泊跡を探してるカップルに、この屋根の上を譲って下山開始
彼女の方がお礼にカメラを撮ってあげると言ってくれた

落とすなよ、オレのカメラ(苦笑)

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下山は、春の陽が傾き始めて
白馬三山に陰影がくっきりと山のカタチを浮かび上がらせる

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帰りのリフト、何時までだったっけ
いいか、乗り遅れたって、山を観ながらゲレンデ歩けるし

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いいなぁテン泊パーティ
オレも装備持って来れば良かったなぁ

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オレ一人くらい、どこかのテント入れてくれないかなぁ

後ろ髪引かれる思い

脚はなかなか前へ進まなくて
何度も何度も振り返り、振り返り

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素晴らしき春の山を
素晴らしき春の日を

最後の一歩まで踏みしめた

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by slow-trek | 2015-05-15 23:41 | 北アルプス | Trackback | Comments(4)
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Commented by パンダ at 2015-05-16 23:18 x
あ〜良い天気!
シャキッと聳える剱がうらやましです。

足の写真が気になりますね〜
そうですか、そうですか、あそこで休憩されましたか・・・
Commented by ルネオバ at 2015-05-17 15:21 x
四度目の挑戦で雪の唐松・・
晴れ男のスロトレさんにしては珍しいこと・・( ̄~ ̄;)

何はともあれ、おめでとう!
午前中の薄雲も、青空に素敵なアクセントを添えて、
午後からは眩いばかりの青空!
三度の挑戦は、この最終章をダイナミックに盛り上げるため
必要欠くべからずだったのよ\(⌒O⌒)/

ま、ワタシはね、ま、あっさりと・・・・(* ̄ー ̄)"
Commented by slow-trek at 2015-05-18 19:34
パンダさん
おや?その謎のフリは^^;
もしやもしや、そうなんですか?
またぞろニアミスだったのでしょうか
記事のUPを楽しみにしてますね^^
Commented by slow-trek at 2015-05-18 19:37
ルネさん
おめでとう、ってほど、おめでたくも無いのですが^^;
確かに、私にしては天気に見放された、って言うか
2度目までは青空はあったのですよ、ただね
ご存じの通り、白馬からの風はすんごっくて(涙)
ま、そんなことはさておき
インスタでチラ見せした素晴らしい画像の五竜記事
早くUPしてくださいな
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