冬の山旅ひとり旅 日光澤温泉

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■山行日:2014年12月20日-21日
■山:奥鬼怒日光澤温泉
■目的:秘湯にスノーハイク
■ルート:夫婦渕(10:40)-日光澤温泉小屋(13:20-09:30)-夫婦渕(12:00)

上州へ単身赴任中に、必ず泊まってみたい山小屋がある
八ツヶ岳、那須、尾瀬、そして奥鬼怒
中でも冬に行くと決めているのは、奥鬼怒だ
何故ならそこは秘湯があるから
その秘湯に、今シーズンの一番雪深い頃に訪れようと思っていた

しかし・・・
仕事関係の重圧から、久しぶりに精神的に危うい状況に陥り
その週末は何かしなければ、どこか行かなければこのままじゃオレは

温泉だ、秘湯だ、スノーハイクだ
決めた、奥鬼怒へ、日光澤温泉へ行こう



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日光道路から北上し、奥鬼怒温泉、川治温泉を越え
国道を西へと逸れると、一気に雪景色
いくつもの橋で、川を、ダムを渡る度に気温は下がる

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狭いクランクで除雪車とすれ違いながらたどり着いた夫婦渕
2年前の初夏に来たときはあった、ホテルが無くなっていた
さっそく、準備をして歩き始めるが、最初の橋を越えたところで
スノーシューが、膝まで潜る雪深さに唸った

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小屋へ予約した際、深い所では1.5メートルの積雪なので
スノーシューは必携、林道歩きも覚悟するように、と言われた

確かに、12月にしては深い、そして雪が重い

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遊歩道は階段で高巻きして、そこから河原へ下り、大きな吊り橋だ
その橋まで下るのに、なんと40分・・・こりゃソロじゃ無理だな
この先、遊歩道は軽いアップダウンといくつかの高巻きを繰り返すのだ
一人でそんなことしてたら、小屋に辿り着けないよ
このルートのスノーハイク楽しみにしてたけど諦めよう

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仕方なく、橋を戻って林道をとぼとぼ歩く

加仁湯温泉、八丁温泉の送迎バスが何度も往復し
乗客たちに手を振られるが、振り返すだけの気力も無い

だって、こんな林道歩き、それも曇天に雪山も見えないのだ
こんなはずじゃ無かったよなぁ、オレ何しに来たんだろう
こんな山奥に一人旅だなんて・・・

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90分ほど歩いた頃、やっと雪山らしき姿が覗く
きっとあれは、鬼怒沼山だろう


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一瞬の山影は嬉しかったけれど、モチベは相変わらず低く
小屋の前までたどり着いても、高揚感も薄く・・・
ところが、ちょうど小屋主夫妻と一緒に出て来たワンコたち
この柴犬ファミリーが、何とも言えない笑顔で迎えてくれた

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特に人懐っこいワンコは、ペロペロと顔をなめ
グローブを噛み、膝に乗っかり、と大歓迎

おいおい、お前たち
2年前はオレのこと吠えまくったんだぞ鬼怒沼山へ行くときも帰る時もだ
まるで天敵のように吠えまくったんだぞ、このやろめ

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しばし犬たちとじゃれてる内になんだか嬉しくなって
ここまでの暗い気持ちは消えていた

噂に聞いた通り、山小屋と謳ってはいるものの
いい感じにひなびた温泉旅館そのもの
きちんと整備され、清潔で、なんとも居心地の良い宿

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こたつと電気ストーブが置かれた個室で荷をほどき
さっそく温泉だ
内湯の中を通り、窓を開けて外へ出るとそこはもう雪景色

肌が痛むほどの風を頬に受けながら
身体は熱めの温泉に浸かる

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その心地好さに唸ってると、いつしか雪が舞いはじめ
頭の上に降り積もる
目の前には奥怒沼の山影

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湯上りはもちろん缶ビール
玄関土間とガラス戸一枚隔てた居間では
薪ストーブの炎もゆらゆら、早くもほろ酔い

そんなところへ、カリカリと音を立て
ワンコが戸をあけてお座り

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あぁ、もうお前たちったら
たれ耳のサンボったら
そんな目でみつめられたら、もう、もう、もう

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優しい目をした母さん犬は、チャング
一番懐いてくれたお兄さん犬は、サンボ
いつも機嫌の悪い末っ娘犬は、わらび

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凍える土間で遊んでは、薪ストーブに当たりを繰り返し
もうひとっ風呂浴びると食事だ

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倹しいながらも一品々が丁寧に作られた御膳

形の良い岩魚が、香ばしく焼き立てで

おまけに、焚き立てご飯の美味しいことったら

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食後は囲炉裏を囲んでポケットウィスキー

いつの間にか、部屋へ戻るのも千鳥足なほど酔っていた

そんなに飲んでないのにな
疲れてるよなオレ、疲れてるよ

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あまりにも早く寝たおかげで、4時に目が覚め
まだ真っ暗な露天風呂へ入る
湯上りに、残ってた缶ビール1本空けて、またぐっすり眠る

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朝食も、ご飯の美味しいこと

深夜に降り始めた雨は雪へかわり、やがて吹雪へと・・・

さて、どうする?
昨日は、常連さんがお一人だけ、林道からショートカットで河原へ降りて
遊歩道はパスしてそのまま河原沿いに歩いて来られたそうだ
やはり遊歩道の雪深さ、そして湿った雪の重さは厳しそうとのこと

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仕方ない、林道をとぼとぼ歩くしかない

支払いを済ませて、土間で用意をしているとワンコたちに囲まれて
何故か、あの機嫌の悪い、わらびでさえ、くんくんと寄って来る

まるで、一人の旅人を送ってくれるかのように


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あぁあぁ、もう

優しい目をした母さん犬は、チャング
一番懐いてくれたお兄さん犬は、サンボ
いつも機嫌の悪い末っ娘犬は、わらび

お前たちのお陰で癒されたよ
一人旅も寂しくなんてなかったよ
また、また必ず逢いに来るよ

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人里離れた奥鬼怒に降り積もる雪
鄙びた宿
心から暖まる湯と薪ストーブ
倹しいながらも美味しいご飯
そして、たれ耳のサンボ

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積り積もった疲労もほぐれ
こんなにも心に残る一人旅

2014年最後の山旅
ここに来て良かったよ


Commented by 目黒駅は品川区 at 2015-01-09 09:52 x
奥鬼怒の一番奥ですよね。当然車は入れないんですよね。女夫渕のバス停までかなりあったと思うけど、途中で雪が深過ぎて遭難しないんだろか??昔雪山で林道歩きだけで敗退したことあるし。
Commented by cyu2 at 2015-01-09 12:44 x
う~ん、もうたれ耳のサンボにまいっちんぐ(←あれ?)
こんな瞳で見つめられたら
こんなけもけもが扉の向こうにちょこん、と座っていたら

何もかもどーでもよくなりますよね
心が癒されてヨカッタヨカッタ♪
あー私も行きたいっ!
Commented by GRI at 2015-01-09 14:23 x
雪、白濁の温泉、薪ストーブ、囲炉裏・・・こりゃあ癒されますね!でも、ワンコが一番の癒しかな (^。^)
2年前のスロトレさんの記事を見て、いつか鬼怒沼に行こうと思ってたんですが、奥鬼怒地震が発生して足止めをくってました。林道の復旧工事も終わったようですし、今年は行ってみようと思います。
ところで、、、
> 何故ならそこは秘湯があるから
⇒何故ならそこは混浴の秘湯があるから
ではなかったんですか? (^。^)

Commented by bebe at 2015-01-09 20:02 x
う〜む〜>_< 悩む!悩むな〜やっぱり。
 
ここにいる文才があって綺麗な画を撮るスロトレさんと、
あっちにいるお酒でぐでんぐでんのスロトレ兄貴が、
とても同一人物とは思えない。爆笑
ま、だからして人は面白いのであって魅力的なのでしょう。
今回もいつもにもましてお見事な記事でした。
さて、ではボクもこの愛らしいチャンわらサンと戯れに行こうかな。
雪の日光澤温泉、最高でしたね!癒されたようで何よりです!
Commented by bphiro at 2015-01-09 20:54
スロさん

明けましておめでとうございます!
本年も引き続き宜しくお願いしますm(_ _)m

年末〆の良い旅でしたね(^_^)v
ワンコ達の可愛いこと…………
Commented by nikkor14d at 2015-01-10 12:41 x
キュンキュン(-ω-)

本年も宜しくでつw
Commented by dahan at 2015-01-11 10:52 x
犬ころも可愛いけど、温泉と薪ストーブがエエですねえ。
こんなとこで火にあたりながら、ホリホリしたいなあ。
今年もよろしくお願いいたします。
Commented by ジオン at 2015-01-11 19:49 x
おお、たれ耳サンボの右耳もたらしたら
我が家のラフ君にそっくりです。p(*^-^*)q

我が家のラフ君は中国系のシャーペーの血が混じった
クォーター柴犬です。
賢くないけど、、癒されます。

よそのワンコが賢く見えて仕方がない
サンボ君も賢そう、、(-_-;)
Commented by slow-trek at 2015-01-12 22:59
目黒駅は品川区さん
奥鬼怒の一番奥、と言えばそうかもしれませんが
手白澤も同じくらい奥かと(少し東方ですが)
手前の加仁湯、八丁湯の二つは秘湯ではあるけれど
バスで送迎されてるので、林道は整備、圧除雪されてます
なので、林道歩きで遭難はないかと思われます
夫婦渕までもバスが出てるので、観光感覚で来られてる
ように見えましたよ^^
Commented by slow-trek at 2015-01-12 22:59
cyu2さん
まいっちんぐですかぁ^^
あの、たれ耳とつぶらな瞳が、もうね
確かに、なんだかもー、どーでも良くなりました
おかげで癒されました
ちゅちゅさんも、ぜひね
Commented by slow-trek at 2015-01-12 23:00
GRIさん
そうですね、私が歩いた翌年の冬に地震がありました
どうやら、夫婦渕の宿が無くなったのは震災と関係
ありそうです、林道は一部工事されてますが
バスも人も大丈夫です、遊歩道も問題無いそうです
混浴の秘湯・・・怪しい響きですね~ふふっ^^
Commented by slow-trek at 2015-01-12 23:01
bebeさん
ここにいるのも、あっちにいるのも私ですよ
てか、誰なのその、ぐでんぐでんの兄貴って(´・ω・`)
なんだか、早速行かれたようで、しかもピーカン?
ふん
羨ましくなんてないやいっ
(・∀・)キュンキュン
Commented by slow-trek at 2015-01-12 23:01
bphiroさん
えぇえぇ、素晴らしい旅となりましたよ^^
こちらこそ、今年もよろしくお願いします
Commented by slow-trek at 2015-01-12 23:02
nikkor14d さん
こちらこそ、今年もよろしくお願いします
ってか、これまた別ヴァージョンなキュンキュン(^^;)
(・∀・)キュンキュン
Commented by slow-trek at 2015-01-12 23:03
dahanさん
えーでしょ、温泉と薪ストーブ
それに囲炉裏ですよ、もうあなた^^
こんなところでホリホリした日にゃ
もう仙人みたいになりますよ
あ、作品の出来上がり、気長にお待ちしてますね~
Commented by slow-trek at 2015-01-12 23:04
ジオンさん
ラフ君ですか、たれ耳なのですね♪
賢くなくていいじゃないですか
オヤジもワンコも少しおバカな方が
愛想があって(って誰のことやねん^^;)
(・∀・)キュンキュン
Commented by pallet-sorairo at 2015-01-13 09:25
なんだかいつも昔話になってしまうので遠慮してましたが…。
私が初めて日光澤に行ったのは45年ほど前。
金精峠から温泉ヶ岳、根名草山を越えて行きました。
日光澤温泉の外見はそれからほとんど変わっていないような気がします。
そのころはもちろんワンちゃんたちはいませんでしたが(^^ゞ
ここは、いつまでもこのままであってほしい宿ですね。
Commented by slow-trek at 2015-01-13 23:14
palletさん
何を遠慮されますやらん、昔話聞きたいですよ^^
45年前ですか!それはそれは・・・しかも金精峠から?
なんだか、そのキーワードだけでわくわくしてしまいます
今の小屋主さんは、つい最近代替わりされたそうです
なので、ワンコはいなかったでしょうね、って言うか
ワンコそんなに長生きしないか^^;
ほんと、いつまでもあの姿であって欲しいです
小屋主さんも寡黙で、黙々と仕事されてる感じがすごく
好感持てました、palletさんも、ぜひ♪
Commented by ゆな at 2015-01-17 18:23 x
泣けました(T ^ T)

スロトレさん、本とか出せますよ、ほんとに!
涙ほろりです(>_<)

ワンコたちがかわいすぎますー!
たれ耳ぃぃー!!!(≧∇≦)
ここ、知りませんでした!
行ってみたいです(*^^*)
Commented by ルネオバ at 2015-01-19 12:23 x
あ~・・
ワンコ登場の画像2枚目、黄色のリードのん、
思わず今は亡きうちのワンコに似てる・・って思ったのだけど、
たれ耳のサンボだったのね・・
表情が何とも言えないわ・・
あんなつぶらな瞳で見つめられると、
コロッといってしまうよね~・・って、何のことやら(^◇^;)

ん、にしてもスロトレさん、
オバチャンをランドネ(もどき)に変身させてしまう腕も一流!
ワンコたちのあどけない表情を切り取るのも超一流やね!
あ~うちのワンコも生きてる間に撮ってもらえばよかった・・
ロクな写真しか残ってないねん・・

雪に閉ざされた日光澤温泉、ええな~・・
Commented by slow-trek at 2015-01-21 00:17
ゆなさん
こんなオヤジの日記で泣かなくても^^;
かわゆでしょ、ワンコたち
ここ、ほんとお勧めですよ
尾瀬エリアと絡めて歩くのもアリかもです
ぜひ一度ね^^
Commented by slow-trek at 2015-01-21 00:20
ルネさん
サンボのたれ耳、かわゆいでしょ?ね?
きっとルネさんがこれ見ると、カイ君のこと
想いだすだろな、と想像してたのですが・・・
やはりね、あれだけ可愛がってらしたもの
写真なんていいじゃないですか
泣けるほど面白いエピソード、私も忘れてませんよ^^;
ルネさんも、ぜひ尾瀬絡めてね!
by slow-trek | 2015-01-09 00:10 | 東北[南会津・尾瀬] | Comments(22)