荒野にて

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国境に吹く風 平標山

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■山行日2014年10月04日(土)
■山:平標山
■目的:平標から仙ノ倉への稜線
■ルート:松手山ルートから平本新道
    駐車場(09:00)-平標ピーク(12:00-14:00)-平標山の家(14:30-15:00)-駐車場(16:30)

谷川岳連峰
いつかは国境越えをしたいと狙っているが、気付くともう紅葉のピーク
この週末、谷川岳は、きっと天神平で大渋滞だろう
それに、日曜は下り坂の予報だ、あきらめよう

じゃ、平標だ
平標山から仙ノ倉山へ、あの美しい稜線を
秋風に吹かれながら、ひとり歩こう




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国境の長いトンネルを抜けると雪国であった
夜の底が白くなった
信号所に汽車が止まった

この文体はリズム感が読ませるよなぁ
「夜の底が白くなった」なんて、さすが川端先生

名作のイントロダクションを想いながら清水トンネルを抜けると
上野国の輝くような秋空と陽射しは消え去り
今にも雹が落ちて来そうな越後の曇天が

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あ、め?

いやいや、ヤマテン予報じゃ9時から止むはずなのだ
だからこそ、こんなゆっくり国境を越えたのだ

駐車場には数台しかなく、谷川岳本峰に比べ
そのマイナーさがよく分かる状況だ

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小雨が落ちる中、とぼとぼと歩きはじめる
駐車場から近い松手山ルートは、そのとりつきから紅葉真っ盛り

雨にそぼる土の香りとブナの黄葉に酔いしれて
ゆっくりと秋を噛みしめるように歩く

9時は過ぎたけれど小雨は上がらない

いいか、これくらいの雨

紅葉の山肌を優しく包む雨

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苗場が望めると聞いていた鉄塔を過ぎて
松手山ピークを越える頃
足元からガスが流れて、紅葉の谷が見え始めた

と、突然ガスが消え去り
青空の下、平標への稜線が現れる

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青空と白い雲と紅葉
目の覚めるようなコントラストに立ちすくむ

そこだけまだガスの残る稜線への木道階段は
まるで雲の中へ導いてるかのようだ

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振り返ると台形がくっきり分かる苗場の稜線

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こんな素晴らしい稜線
前後に数人のハイカーしか居ないなんて

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稜線に乗っかると、少し肌寒いほどの秋風

上越の国境に吹く風だ

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平標のピークは、山名板を中心にちょっとした広場
その端に腰を下ろして手作り弁当を頂く

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視線は笹越しに見えるはずの仙ノ倉山
まったくガスガスで何も見えない東方向を
ご飯を食べながら睨んでいると、一瞬ガスが消え去り、その姿が見えた

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よし、きっとガスは消える

お弁当を食べ終えて立ち上がり、ガスの中、木道を進む

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が、数メートル先も見えないほど濃いガス

 「もう上はなーんにも見えないよ」 「今日はもうダメですよ」

前方から戻ってくる数人は口を揃えて言うけれど
苦笑いでスルーして、わしわし進む

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確かに、このガス、それにいつの間にか雨も降り始めてるぞ
と、ふと気付くとガスの中、あの指標がぽつんと立っていた

ガスの中、赤く灯る東芝ランプ

そうか、そうなんだ
ガスの多いこのエリアを歩く人たちを導くランプ
こんなシュチュエーションだからこそ、この紅いランプなのだ

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草紅葉に流れるガスの中
そこだけ、仄かに明るい東芝ランプ
「もう、今日のところは、ここでお帰り」
そう穏やかに促された気がした

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仙ノ倉山への見えない稜線を振り返りながら下山
平標のピークからは西へ、もう誰も居ない平本新道へ降る

ガスの中、赤い屋根と、なんだか懐かしい香り
平標山の家だ
この懐かしい香りは何だろうか

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小屋は、狭いスペースを最大限に活用できるよう工夫し
ハイカーたちを心地好く迎えてくれそうな部屋

武骨なカンジではあるが、小屋主である青年は、なんと3代目だと
朴訥な口調で、初夏の仙ノ倉への尾根の美しさを語る
その口調に、この山を誇る気持ちが暖かく伝わる

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  もう、次の連休で小屋閉めです
  いつ雪が降ってもおかしくないから
  そうなると、もうここは雪ん中閉じ込められて・・・

ストーブの火を加減しながら薪をくべる若き小屋主の言葉
あぁ、もう冬なんだ
懐かしく感じた香りは、秋の風に漂う焚火の香り
それはこの薪ストーブだったのだ

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淹れてもらったコーヒーも飲み終える頃、会話も尽きて
パチパチと薪が爆ぜる音だけ
その音は秋の終わりを告げるように聞こえた

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山の家からは、誰も居ない紅葉回廊を、しんしんと一人下る

下りきると、林道を40分ほど歩いて駐車場へ戻ると、早くも夕暮れ
急に寒くなって、国道沿いの温泉に駆け込んで暖まると、外は、もう冬の夜

トンネルで国境を越えると、夜の底が白くなっていた


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by slow-trek | 2014-10-22 21:39 | 関東甲信越[越後・妙高域] | Trackback | Comments(12)
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Commented by ジオン at 2014-10-22 22:44 x
おっ、、ヘレカツ弁当食べたい~。

平標は花の山で、何年か前の6月に行きました。
花がきれいで、仙の倉岳まで行って、あの山小屋もそばで休憩しました。

紅葉がきれいですね
秋もいいな、、。

ブログの検索ワード??
私のブログにはなかったみたいです。(泣)
Commented by ゆな at 2014-10-22 23:26 x
最近、ヤマテン当たらないんですよね……(´Д` )
私も谷川主脈のとき泣かされました´д` ;
ま、谷川だから仕方ないか…と思ってます(^_^;)

東芝ランプは、マツダランプより新しい感じがしますよね。
割と最近のものなのかな?

平標山の家!
って、中の撮影禁止だと聞いたことあります。
初めて中を見ました♪いい感じですねー♪
雪の時期に平標登ってみたいなぁ(*^^*)

ヤマレコ、写真しかまだアップできてませんが(^_^;)
Commented by GRI at 2014-10-23 09:56 x
平標山、花の時期に2度行きましたが、紅葉の時期も良いですね~。
山肌のパッチワークがとってもきれいです!

そうそう、夏は激混みですが、秋は空いてるんですか!? 良い情報ありがとうございました。

東芝ランプ、前の記事を読んで調べてみましたが、ここだったんですね。
仙の倉まで歩いたことがありますが、全く記憶にありません (^^ゞ
今度行く時はしっかり記憶にとどめて、探してみたいと思います。良い勉強になりました~。
Commented by cyu2 at 2014-10-23 20:29 x
平標山の家、自炊小屋の方に泊まりました。
テントかついで行ったのに、ガスで気分は↓だし小屋があまりにもきれいで快適そうだったので予定変更。
(実際快適でした)
ああ、そういえば翌日はひるっちとの戦いがあったんだった。
色々思い出深い平標山、東芝ランプみに再訪したいです。

そして1個前のコメ失礼しました。ちゃんとリンクしてあるじゃないですかね~(^_^;)
同じようなワードで検索して、すい寄せられるようにみんながやってきて、
あの記事がいつも上位に来るようになってたのとちゃいますか?
人気者だからですよ(*^。^*)

それにしてもまー、面白いのなんのって。
何度読み返しても笑えます。
そっちの才能も素晴らしいですね、スロさん♪♪
シリアスと笑いの両方とも兼ね備えて、
それぞれに冴えてるってほんとステキだわ(・∀・)キュンキュン
Commented by akko-kornblume at 2014-10-24 08:10
うー朝から唸らせていただきました♡

静かな山、小雨降る紅葉の回廊…
しびれますね…もうっ(笑)

スロトレさんってホント不思議な人。
笑わせてくれたり、泣かせてくれたり。

平標山から仙の倉…見えなかったんですよ…
花の季節は行きそびれるから、
来年は秋に行こうかな♡
Commented by pallet-sorairo at 2014-10-27 23:31
検索ワード記事が面白すぎて(^^ゞ

で、今回は「あと500m行けば10000mって言うのがあったのに」…って、他人事ながら私が口惜しがってます。
せっかくだからやっぱりキリのいいところまで行ってほしかったよぉ(^^ゞ
Commented by slow-trek at 2014-10-28 05:59
ジオンさん
さすがジオンさん、きっちり花の季節を外していないですね
6月、小屋の方が、広がる鞍部に咲きじゃくる花たちの
素晴らしい画像を見せてくれました
夢のような絵でしたよ
いいなぁ
Commented by slow-trek at 2014-10-28 06:06
ゆなさん
んー、まぁ、あくまでも予報ですからね
谷川岳エリアは、新潟、日本海の天気なので・・・
東芝ランプよりマツダランプの方が新しいみたいですね
来シーズンこそ、マツダランプに会ってきますよ^^
あ、平標山の家ね、部屋を出る時に振り返ると
「撮影禁止」って張り紙に気付きました
でも小屋主さんには注意されなかったので
黙認してくれたのでしょう^^;
Commented by slow-trek at 2014-10-28 06:10
GRIさん
秋もいいでしょ~
でも、皆さんの過去記事拝見すればするほど
花の季節の方がいいなぁ、なんて^^;
小屋も、花の季節は予約を断らなければならないほど
混みあう日もあると言われてました
東芝ランプ、その存在の背景は重いですね
仄かな灯りは、ホッとさせてくれました
Commented by slow-trek at 2014-10-28 06:13
cyu2さん
あちゃーっ!山ヒル?居るのですね!?
そりゃ要注意だ^^;
ちゅちゅさん、シリアスとお笑いの両方?才能?
そんなに持ち上げられても、何も出ませんよ^^
根っからの関西人、やっぱお笑い系でーっす
Commented by slow-trek at 2014-10-28 06:18
矢車草さん

>笑わせてくれたり、泣かせてくれたり。

いやいや、矢車草さんを泣かせたことはありませんが
いつか号泣させてみたいものです(って、何のこっちゃ^^;)
仙ノ倉、見えなかったのですね
私は、お弁当食べながら、一瞬見ましたから、えへん^^
ぜひ、秋に、見るだけでなく、あの素晴らしい稜線を歩きましょう
Commented by slow-trek at 2014-10-28 06:23
palletさん
ふふっ、palletさん
この私が、1000M地点で断念するとお思いですかぁ♪♪
これですよね
http://goo.gl/DkNV6T
この先の、たぶん、一番花が咲きじゃくる辺り?
までは歩いたのですが、さすがに雨に負けました^^;
来シーズンは必ず!
line

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