荒野にて

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秋澄むうつくしま 吾妻連峰(後)

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■山行日:2014年09月27日(土)-28日(日)
■山:吾妻連峰
■目的:憧れの秋のみちのくの山
■ルート:浄土平(08:45)-一切経山(10:25)-家形山(11:50)-烏帽子山(14:00)-弥兵衛平(17:00)
     弥兵衛平(06:30)-谷地平(11:00-12:00)-姥ヶ原分岐(14:40)-浄土平(15:15)

弥兵衛平避難小屋、そこには名月荘なんて名前が付いている
まるでどこかの温泉宿のような名前だ
建屋には、外に梯子があり、2階の入り口へと通じている
このエリアの避難小屋は寒冷地仕様、2階から出入り出来るのだ




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薄暗い部屋の隅っこ、担いで来たビールで、「みちのくひとり鍋」
背中では、地元の陽気なお父さんお母さん達が楽しそうな宴

んだ
んだんだ

会話の半分は意味不明だったが、たぶん12通りくらいの「んだ」を聞いたと思う
宴もたけなわ、一番陽気なお母さんが立ち上がって手拍子と共に、民謡を一節
ほのぼのした「んだ」と、みちのくの唱を肴に最高に美味しい酒となる

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夜明け前に行動したかったが、左脚の脹脛がこむら返り
マッサージとストレッチで身体を暖めてるうちに時間は過ぎて6時半出発
それでも、足首は昨日よりも調子良くて、これなら大丈夫?

んだ

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朝陽を浴びて輝く草原の中、すくっと伸びた木道を、後にも先に一人っきり
小屋泊まりは、西側に位置するスキー場、温泉からの登山者しかいなかったようだ
ま、あんな「玄人好み?」なヤブ漕ぎ、ぬかるみ、障害物ルート
きっと地元の方は好んで歩かないだろうな

んだんだ

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昨日パスした東大巓のピークを踏もう、とザックを木道に置いて逸れる
が、ほんの1分で樹林に囲まれたピークだった・・・なんだこれ
弥兵衛平の広大な湿原を見下ろせるとばかり期待してたが、残念

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谷地平分岐の湿原、昨日は夕焼けに、今朝は朝陽に輝いて美しい
さぁ、ここから約450mの激下りの始まりだ

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と、またまた、いきなりのブッシュ状態
あぁ、朝からこれかよ
いやいや、昨日の稜線に比べると、こんなもの
だって空が見えるのだ、景色が見えるのだ

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トレイルは、小さな沢をいくつか縫うように下る
そして下るにつれ、沢は少し広がり初め、渡渉となって行く

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唐松の樹林に飽きた頃、赤、黄色の葉が目を楽しませてくれて
激降りに疲れた頃、小さな沢が涼しげな風を送ってくれる

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あぁ、このルートいいな
あまり人が歩いてなさそうで、人の手も最小限しか入ってなくて
北アルプスのような完全整備された歩道とは全く違う
これこそ登山道だ、なんだかちょっと嬉しくなる

気付くと樹林は大きなブナ林へと変わり
足元は苔むした岩、倒木となっていた
そして、ゆっくりまったりと4時間も下った頃、やっと谷地平

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ここは、スタート地点の浄土平よりも標高差150mも低い
まさに谷底、そんな場所に、こんなにも広い湿原がある

その谷底に一人きり

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谷底の湿原を過ぎて大きな沢を渡渉すると、黄色い森だ

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その森の中、これまたメルヘンチックな三角屋根の小屋
谷地平避難小屋だ
小屋の中は、きちんと整理されて、2階からの入り口には
ちょっとしたロフト風な物置があり、レスキューボードもある

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そしてすぐ裏手には小川が流れてて

こんな素敵な小屋、一人週末にふらっと来て一晩過ごせたらいいな
まったりとランチを済ませると、さぁ、ここから最後の350m登り返しだ

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この登り返しも2、3本の小さな渡渉と苔むしたトレイル
針葉樹林の中は、小さな沢から風が抜け、何とも心地好い

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2時間ちょっとの登り返しで姥ヶ原だ
視界にあるのは青空と、ハイマツの中に一本伸びた木道だけ
そして南方にある丸い山は東吾妻山

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この荒涼とした感じ
なんと心に沁みる風景だろうか

ここだ、ここが今回の山旅のゴールだ

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まだ酢ヶ平を回り込んで浄土平へと下るルートが残っているが
この時点で二日間を振り返っていた
福島、そして山形との境界線の薄暗いヤブ漕ぎ
夕陽と朝陽に輝く壮大な箱庭、暖かな避難小屋での一夜

あの家形山からの、玄人好みのヤブ道め、ふふっ
いい山旅だったな

一人、木道に座り込んで、風景に溶け込んでいた

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姥ヶ原を進むと、突然足元に広がる鎌沼の湖面
その絵葉書のような美しさ
それは、何だか、現実感に乏しく想えるほどの眩しさ

これって、本当の風景なんだろうか

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ここまでのヤブ漕ぎ、ぬかるみ、谷底の湿原、ブッシュに輝く一枝の黄葉
そんな荒涼とした世界から、突然光り輝く湖面に飛び出したおかげで
自分の五感がその輝きに驚いている

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酢ヶ平を過ぎて、浄土平への最後の下り
もう少しで駐車場なのに、何故か気になってザックを下ろし
スマホの電源をON

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すると着信とメールの数々、慌てて電話すると
二日間連絡が付かなかった不安に震えながら
悲報を伝えるヨメさんの声

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噴火したって?あの御嶽が?何それ?大丈夫オレ、今下山したから、御嶽じゃないから

混乱しながらも駐車場まで戻り
スマホでニュースサイトを確かめると、飛び込んできた映像
澄んだ秋空に吹き上がる噴煙、それは恐ろしくも美しく、そして悲しい空

目に入る情報、その事実にただただ、愕然とする
ふと振り返ると一切経山からシューシューと音を立てて上る白い噴煙

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あぁ、ここもだった、この山も火山だった
ごめんよ、オレも火山を歩いてた、心配させてごめんよ

やるせない想いを引き摺りながら帰り支度をすませ
駐車場からドライブウェイに出ると、サイドミラーには
吾妻小富士の火口を御鉢めぐりするハイカーの行列が見えた


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憧れていた秋の東北
吾妻連峰の一部を周回した山旅は、登山の楽しさと、苦しさと
その一瞬しか出会えない、一期一会の山の美しさと儚さと
全てが澄んだ秋空に包まれた二日間だった

この秋の空の色
その悲しさ
きっと、いつまでも胸に残るだろう
by slow-trek | 2014-10-09 20:00 | 東北[朝日・飯豊] | Trackback | Comments(12)
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Commented by cyu2 at 2014-10-10 07:46 x
良いですね〜
んだんだのリズム。
地味な面白みにも欠けるアップダウンの繰り返しの途中、すーっと風が通り抜ける穏やかで温かな場所に出た時、
歩いてきた意味が解ったような気分になりますよね。
個人的には大失敗の苦い思い出の東吾妻ですが(笑)この景色は大好きです。

来年は是非北東北へもいらして下さい(*^^*)
Commented by pallet at 2014-10-10 20:23 x
ワイルドで湿原好きなスロトレさんにピッタリの素敵なトレイルですね。
以前、吾妻小屋に泊まってちょこっとだけこの辺歩こうと思ってたのに
お天気悪くて帰って来てしまったことがあります(↑ pallet)。
いいとこどりして(^^ゞ歩きたい…来秋の宿題かな。
Commented by ゆな at 2014-10-12 09:34 x
んだ!んだんだ!!!笑

美味しそうな鍋♡
避難小屋って楽しいですよね(*^^*)
谷川稜線の避難小屋は土管みたいでしたが…w

東北の山って火山多いですよね…
東北の山、行きたいとこいっぱいあるけど全部火山です…
山をやらない友達に、お願いだから火山には行かないでと言われました(>_<)
Commented by dahan at 2014-10-12 11:41 x
んだんだ
みちのくひとり鍋~♪ええなあ。
おんたけ木曜の夜にちょっと思い浮かんだんですけど釈迦にしたんです。
いろいろ考えてしまいますね。
Commented by slow-trek at 2014-10-13 06:39
cyu2さん
ふふっ
ちゅちゅさん、浄土平の大失敗?過去記事拝見しましたよ^^
なんとまぁ、そりゃ大失敗ですねー、でも想いだして
笑えるレベルかと(勝手に笑うなって^^;)
そうなのです
本当は北東北をひとり彷徨いたいのです
でも頭の中はロングトレイルばかり浮かんで、二日や三日の
休みじゃね^^;
いつかルートでご相談させて下さいね
Commented by slow-trek at 2014-10-13 06:43
palletさん
実は今回、ネット情報で大湿原に目を奪われて
行き先を吾妻連峰と決めてから、小屋情報も収集してたのです
そしたら、palletさんの旧ブログの吾妻小屋の記事にヒット
なんとも味わい深い小屋でしたね、あの記事見て小屋にも
行きたくなりましたよ^^
いいとこどり、だったらグランデコスキー場からの入山でしょね
Commented by slow-trek at 2014-10-13 06:45
ゆなさん
>避難小屋って楽しいですよね(*^^*)

んだ^^
あぁ、あの土管止泊まったのですか?ヤマレコ楽しみです^^
そうなのです、、、魅力的なお山、ほとんど火山なのです
いろいろ考えられますね
Commented by slow-trek at 2014-10-13 06:48
dahanさん
そですか、んじゃもしかしたら
dahanさんも、あの日御嶽に登ってたかもそれないのね
そりゃお釈迦さまに感謝、ですね
ほんと、いろいろ考えさせられます
Commented by ルネオバ at 2014-10-13 11:07 x
> たぶん12通りくらいの「んだ」を聞いたと思う

言語学的には、38通りの「んだ」の用法が確認されています。
も少し、聞き分ける力を養った方が良さそうですね~( ̄^ ̄)

・・って、ウソですよ~・・・
だって・・こんなにも簡単に?
東北の秋の山を味わってるんですもん・・・・ (>Д<)

どの絵も、まるで夢の中の景色に思えます。
ひどい藪も、泥濘さえも羨まし・・
みちのくはやはり遠い地です・・

いろんな意味で、また一つ心に残る山旅だったのね・・
私もいつか、きっと・・
Commented by slow-trek at 2014-10-13 14:35
ルネさん

>ひどい藪も、泥濘さえも羨まし・・

言いましたね^^
まーね、ヤブったって、足元はちゃんとした登山道ですから
そう言う意味では、ヤブ漕ぎなんて言うと、怒られますよね
整備されてる方たちには頭が下がります
いつかきっと・・・
そう想いますよね、私たち関西人には、あまりにも遠く
だからこそ憧れの地です、はい
Commented by おかん at 2014-10-13 17:34 x
いいところですね
久々に歩きたくなりました??
Commented by slow-trek at 2014-10-15 22:55
おかんさん
あぁ、そう言ってもらえると嬉しいなぁ
おやじさんに、連れてってもらってくださいね^^
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山行記録と山にまつわる物語


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