荒野にて

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蘇った渓谷 大杉谷(前)

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■山行日:2014年05月10日(土)
■山:奈良県台高山系大杉谷渓谷
■目的:全線復旧したルートを一気に遡行する
■ルート:第三発電所(07:15)-桃の木山の家(11:00-11:35)-堂倉滝(14:40)-日出ヶ岳(18:10)

山歩きを始めたのは2006年、その時には既に歩くことの出来ないルートとなっていた
日本三大渓谷とまで称された大杉谷は、2004年の大水害によって、その渓谷美は
一夜にして徹底的に破壊され、二度と歩くことは出来ない、とまで言われた悲劇の渓谷だ

その渓谷が蘇った
あの大水害から10年後となる今年、ついに第三発電所から大台ヶ原までの全線が
見事に開通したのだ、これは行くしかないだろう




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そんなことを企んでいた5月のある週末、急な要件で関西逆出張となり
例によって思いつきで山仲間Lineグループに提案してみた

 「大杉谷、桃の木山の家までのピストンで行きませんか?」

大杉谷と聞いて、山仲間たちも一気に盛り上がるも、皆さん事情もあり
金曜の朝、ギリギリに決まったのは、山友ルネさんと宮川ダムから大台ヶ原まで
一気に歩き通し、午後から大台ヶ原を周回される山友コトコト夫妻と合流し
中継地点まで車で送って頂けることになった
そう、一気に遡行する、最高のプランとなったのだ

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このルート、近畿にありながら、行程の組み方は北アルプス遠征よりもやっかい
それほど秘境に流れる渓谷なのだ

某道の駅で一台をデポし、宮川ダムまで2時間ちょっと、この時点で
既に自宅から4時間オーバーの遠征だ、そして第三発電所から、いよいよ歩き始める

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取り付きである発電所を抜けると、まずは大日嵓、ちょっとした下の廊下
少し朝靄に煙る流れは既にエメラルドグリーンだ

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大日嵓吊橋、能谷吊橋、地獄谷吊橋と橋を越えながら
山の、渓谷の奥へと進みながら、もうこの時既に、その山深さに酔い始めていた

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京良谷出合で一度河原に降りると、また登り返し、そして日浦杉吊橋
この大きな吊橋からは、大きくV字に広がる大杉谷の深さが窺える

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日浦杉吊橋から10分ほどで、この登りルートで最初に出会う滝、千尋滝を見上げる
4年前に来たときよりも水量が多く、この先の滝も楽しみになる

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丁寧に鎖が付けられた岩場を巻いて行くと、足元に清流が広がり始める

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そして、最初のポイントであるシシ淵となる、淵の奥に流れ落ちてるのが、ニコニコ滝だ
倒れかけている巨大岩の間を潜って河原に降りる

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学生時代から山歩きをされているルネさんも、何故かこのルートだけは
縁がなかったようで、今日は念願かなったためか、少し興奮ぎみ

大杉谷の流れが、この狭くなった淵に溜まり、その合間から滝が望める
なんとも神秘的な構図、ここを見るだけでも秘境感はたっぷりだ

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シシ淵を巻く取りつきにはゲートがある、これは2010年に第三発電所からここまでを
エリア限定の部分開通した際のゲートだ

 「確か4年前はこのゲート越えたんやろ?どうやったのこれ?」

そう、少しでも奥に歩きたかったのだ、で、気が付けば、このゲートをほにゃららっと
越えてニコニコ滝まで行っていたのだ

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岩場を鎖頼りに巻いて行くと、ニコニコ滝の四阿だ
ここまで飛ばしぎみだった脚も、この連続したポイントでは止まってしまう

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四阿を過ぎると、すぐに平等嵓だ、この巨大嵓の迫力はどうだ

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迫りくる巨大スラブ岩、足元には悲劇の残骸が広がり始め、嵓の迫力を惹きたてている

 「ちょっと見にくいけど、あそこに、崩れる前の吊橋の基部があるんですよ」

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4年前、そのコンクリートの塊が転がってる姿を見て恐れを成したこと
そして逃げるように帰ったことをルネさんに話すけど、あの畏れ?のようなものは
きっと伝わらないだろう、今ではこうして新たな橋が架かり、無残な姿から一変していて
あの日の嫌な風も吹いてはいない

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平等嵓吊橋の次は、加茂助吊橋だ、あぁこれは、いつの日か歩いた加茂助谷の頭が源頭部だ
あの頃は台高山系もいっぱい歩いてたな、なんて、ちょっとノスタルジ

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そして2時間45分、ついに桃の木山の家へと向かう吊橋だ
初めて見るこの山小屋の姿に、何故かいろんな想いが込み上がってきた

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山歩きを始めた頃に、ネットで最初に、この大杉谷ルートの記録に辿り着いたのは
ある方の記録だった、そのグループの皆さんの画像と記録がなんとも楽しそうで
リンクされてる皆さんの記録も、何度も何度も読み返していた
その数年後、ネットとリアルの偶然が重なって、その記録をUPされたHさんと知り合うことになり
いつの間にか山仲間として迎えて頂いて、自分の山の世界が一気に広がったのだ

最近山から離れてるHさん、今頃どーしてるかなぁ、やっと来ましたよ
皆さんとリンクさせてくれたこのルート
こうして立派な道が復活しましたよ
またいつの日にか、一緒に歩きましょうよ

いつの日か来てみたかった、桃の木山の家で
ちょっと胸に沁みるひととき


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by slow-trek | 2014-06-15 00:01 | 近畿[台高山系] | Trackback | Comments(6)
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Commented by dahan at 2014-06-15 20:27 x
いいなあ。行きたいなあ~。
松阪まで電車で行って、とか考えてるんですが近くて遠いです。
Commented by slow-trek at 2014-06-15 22:45
dahanさん
そーかー、近くに住んでても大杉谷を遡行しようとすると
一回、松坂に?電車で?・・・本当、一番遠い近畿ですよね
そう思うと、今回歩けたのは山友のおかげとは言えラッキーでした
オススメは、桃の木一泊で、まったりと歩くこと!ですよ♪
Commented by at 2014-06-16 07:44 x
以前の記事を拝見していたので、今年開通したというニュースを聞いたとき真っ先に考えたことは、「スロートレックさん、行きはるんかなあ」

まずは念願かなっておめでとうございます。
僕もいつか見たみたい風景だなあって思っています
Commented by ルネオバ at 2014-06-16 20:56 x
いえ、決してヒマ・・てわけではないのですが・・
Hさんの当時のレポや、お仲間のレポなど再読しました。
改めて、スロトレさんにとってあれから今日に至るまでの数年、
濃密なそして激動の数年だったのでしょうね・・と、しみじみ・・。
そんなこんなの想いを抱きながら、歩かれていたのですね、と今更・・ (^^ゞ
後編、楽しみにしています!

Commented by slow-trek at 2014-06-17 21:30
恭 さん
わぁお、昔の記録まで読んで頂いてたのですねー
そうなんです、念願かなって大満足です
もし行かれるなら、ぜひ一泊で、この山深さを堪能してくださいね
Commented by slow-trek at 2014-06-17 21:42
ルネさん
と、しみじみ・・・。
ってルネさん、この話し桃の木山の家でしましたよー(笑
激動の、とか、濃密とか?は、何とも言えませんが
あの山仲間と知り合えなかったら、今の僕は無いかなーって
そう想えますね、ってめっちゃマジレスなのですが^^;
続編ね、はいはい、ご期待くださいな^^
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