荒野にて

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7月の黒部 黒部川ノボル折立クダル

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ランプの小屋、高天原山荘の朝はヘッ電を点けて始まる
薄暗い食堂で登山者たちは顔を突き合わせるように朝食を頂く

やはり五十嶋グループの小屋だ、味噌汁が最高に美味しい

小屋を出る頃に、カメラのバッテリーが切れかかってることに気付く
まぁ、いいか、もうこのルートも三度目だし

今朝も、高天原のチングルマが朝露に濡れている



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やぁ、また来るよ、きっと来年も来るよ
チングルマは、ちょっと笑ってくれた気がした

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渡渉箇所では昨日よりも水量が多く感じる
こうして、少しずつ少しずつ、雲ノ平の残雪は、黒部川へと流れ落ちて行くのだろう

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高天原峠まで戻ると、やっと空が明るくなって行く

太郎へと戻るルートは、もちろん大東新道
樹林の中を一人、黙々とD沢、C沢、B沢と、淡々と遡行り、そしてA沢
あの赤く滑る岩の上を歩きながら、二日前、ここを滑落して亡くなった見知らぬ登山者を想う
河原に降り立つと、なだらかな黒部の流れに手を合わせた

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薬師沢小屋を過ぎ、渡渉ポイントを越えて太郎兵衛平の登り返し
いつもここで振り返る雲ノ平と水晶岳の姿は、黒い雲とガスの向こうだ
あきらめて振り返ると、小雨とガスに白く稜線に向かう

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振り返った瞬間、目の前に現れた男性にぶつかりそうになる
赤のマムートのレインスーツ、背が高く、頭はもしゃもしゃで眼光は鋭い男
あぁ、また逢った、志水哲也さんだ、これで3度目となる偶然
想えば、黒部をめぐる山をこれだけ好きになったのは、彼の作品の存在が大きいのだ

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志水氏の文を想いながら向かう稜線の光景、2年前の夏と同じ小雨に煙る姿
あの時も志水氏の「幻の滝」のことを熱く語りながら歩いてたっけ、まるでデジャブだ

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そんなことを想い出すと、寒さと空腹のせいもあって、あのとき食べた太郎小屋のラーメンが食べたくなる
あぁ食べたい、食べよう、ガスに煙る小屋に急ぎ足で向かうと、残念ながら軽食は終了

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クサりながら空腹を抱えたまま、小走りで折立へと下る
どんどん大粒になって行く雨がレインスーツを叩く音を懐かしく感じながら
濁流へと姿を変えるトレイルをじゃぶじゃぶと小走りを続ける

読売新道を下る行程メモを忘れてった黒ずくめの彼女、この雨の中稜線上でどうしているだろう
雲ノ平山荘で酔いつぶれた名古屋のA君、彼も今頃は水晶岳で雨に打たれているだろうか
2年前一緒に歩いた山友は今頃、予定通り槍穂縦走を終えて下山しただろうか

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デジャブと現実が織り交ざる、黒部の雨の不思議

足元に広がるダム湖の上、雨上がりの空から射し込む天国の階段に立ち止まる


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あぁ、これも2年前と同じシーンだ

そんな錯覚に酔ったまま、登れるはずのない神々しい階段を見上げ
憧れていた初夏の黒部行は終わった
by slow-trek | 2013-11-20 22:28 | 北アルプス | Trackback | Comments(10)
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Commented by pallet-sorairo at 2013-11-21 08:04
黒部の山旅、堪能させていただきました。
私もたった一つといっていい沢歩き(巻機山割引沢)で
後続のパーティの若者が亡くなったというのを下山してから知ったことがあります。
何というか…今思い出しても身の引き締まる厳粛な体験でした。
合掌。
で、清水哲也さん。
佐伯邦夫さんと、ひょんなことからお知り合いになったことで
清水さんとも一度お会いしたこと(すれ違ったくらい(^^;)があります(都会で)。
まちでは優しい笑顔の普通の若者でしたよ。
もっとも、写真家デビュー前のずいぶん昔の話ですが(^^ゞ なつかしいです。
Commented by ルネオバ at 2013-11-22 10:45 x
は~・・ワタシらが槍穂歩いている同じ時に、
そんなとこで独り、いてはったんですね~・・
一言事前に言ってくれれば、槍穂放っぽりだして駆け付けましたのに・・美女三人で・・ σ(^◇^;)
そんなことになってたら、全く別の黒部になってたでしょうね~
「僕の黒部を返して!
元祖山ガールと行く 忍耐の黒部」・・・なんてとこでしょうか? ( ̄~ ̄;)
次からはちゃんと言ってちょうだいね♪

あ・・・しみじみの黒部に、こんなレス入れてごめんなさい・・
いつもながらオバチャンはこれだから・・・自分で言うな・・って?・・《;~Д~》

雲ノ平・高天原、もう二年も前なんですね・・しみじみ・・
Commented by katsu♨ at 2013-11-22 12:44 x
たまには小屋泊もいいですねぇ。
しかもそれがランプの宿ならなおさらですね。
次回は是非とも高天原山荘に泊まってみたいと考えとります♪
平日だと多少は客も少ないのでしょうね。
「黒部の物語」今回も楽しませていただきましたYO
Commented by ゆな at 2013-11-22 19:49 x
小説読んでるみたいでした♪
ありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ

沢沿いのこの道って怖そうですね(´Д` )
ビビリな私はどうしてもこっちの道は通れないです(´Д` )

志水さんといえば、薬師見平ですね!
志水さんが薬師見平へ行ったときの番組のDVD、うちに大切に取ってあります♡
Commented by slow-trek at 2013-11-24 22:37
palletさん
>佐伯邦夫さんと、ひょんなことからお知り合いになったことで

って、サラっと書かれてますが、あの佐伯さんと?
palletさんって、実は凄い人だったりしますか(汗
しかも、志水さんとも????
これからはpallet先生とお呼びします(笑)
山を巡ってのいろんな出会いがあるものですね・・・
Commented by slow-trek at 2013-11-24 22:41
ルネさん
>「元祖山ガールと行く・・・」
ちょっと違いますね
「先祖山ガールと行く ・・・」?でしょかね^^;
そうなんですよ、もう二年も経つのです
あの時の黒部、一番輝いていたと思います
この先何年歩こうと、あの日より美しい黒部は
きっとないでしょう
Commented by slow-trek at 2013-11-24 22:44
katsu♨ さん
えぇ、ぜひとも高天原お泊まりください
ランプの下で飲むお酒、それも北ア最深部の静けさ
の中でですよ?そりゃもう最高です^^
ぜひ来シーズン
Commented by slow-trek at 2013-11-24 22:47
ゆなさん
>志水さんが薬師見平へ行ったときの番組のDVD
あの幻の?あれって東海地方でしかOAされて
いないはずでしょ?なぜに???
って言うか、ゆなさん、それってどうにかして
私に見せて貰えることは出来ないでしょうか・・・
って、めっちゃマジレスなのですが
ぜひご検討ください
あ、メールアドレスは右のカウンター下に!
Commented by pallet at 2013-11-25 12:23 x
こんにちは
佐伯さんとの出会いはとっても可笑しくて(^^ゞ汗汗な話(私が ネ)なのでナイショ。
で、ワタクシはちっとも「凄い人」ではありません。
ご安心を~(^^ゞ
Commented by slow-trek at 2013-11-25 22:57
palletさん
とっても可笑しくて・・・って、そんなぁ~
佐伯さんと、そんな可笑しな、汗汗な仲って
やっぱり、palletさん、超凄いヒトでしょ(笑)
あ、pallet先生だった^^;
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山行記録と山にまつわる物語


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