荒野にて

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大台ヶ原 初夏

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■山行日:2013年06月16日(日)
■山:大台ヶ原
■目的:シロヤシオに会えたなら
■ルート:駐車場(09:40)-日出ヶ岳(10:20-10:40)-ランチ-大蛇嵓(12:40)-駐車場(14:15)

梅雨中休み
単身赴任先の上州から大阪への逆出張
ぽっかり空いた休日
久しぶりの二人の時間

もう夏やなぁ・・・涼しい山でも歩こか
そやなぁ、もう夏やもんな・・・歩きに行こか

それだけの会話で行先は分かる
さて行こうか、毎年、夏に歩くと決めているテーブルランド、大台ヶ原へ
  
 



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相変わらず下界の蒸し暑さとは無縁な大台ヶ原
駐車場で用意をしている間も、ヨメさんは冷たい風に悲鳴を上げている

私は半袖シャツの上から長Tシャツを、ヨメさんはレインスーツの上着を被り
涼しいどころか、予想外の風の冷たさに狼狽えながら出発する

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いつものように木漏れ陽の隙間を縫ってゆっくり歩く
前日の雨が、樹と森を、そして石畳の歩道を濡らし
まるで空気までもが雨に洗われたかのように、目に入るもの全てが輝いて見える

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 「たしか、この辺りに咲いてるはずやのになぁ」

ヨメさんは、歩道が階段に変わる辺りで、シロヤシオが見えると期待していたが
もう完全に花は落ちきっていて、その姿に肩を落としている

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展望台から日出ヶ岳まで、ひと汗かいて見下ろすと、熊野灘までくっきりと見渡せられる

 「こんなに海が近かってんなぁ、これだけはっきり見えたの初めてやわ」

そう、ここ大台ヶ原は、「空と海をつなぐ台地」だ

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花びらが散る木製階段を正木峠に向かっていると、そこだけ白いトンネルが残っていた

 「あ、シロヤシオ!残ってた!嬉しぃわぁ残っててくれてんなぁ」

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空はどこまでも青く、碧く、蒼く
白く厚い雲は、見る見るうちに大きくなって夏の訪れを誇っている

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 「もぉご飯食べよ?な?」

正木峠のベンチで早めのランチ、遠く近い海を見下ろし
湧き上がる夏雲を眺めながらの缶ビール

あぁ夏だ

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 「あのな?耳がな?おかしいねん、鳴ってるねん、ご飯のときは無かってんけど」

牛石ヶ原を抜ける頃、ヨメさんが不思議そうな顔
それは春蝉の鳴き声が響き渡っているからだ、この大台ヶ原には姫春蝉(ヒメハルゼミ)がいる

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 「ふぅん、蝉やってんな、可愛い名前やなぁ姫なんや、小さいねやろなぁ」

きっと見つかるだろう、と歩道を逸れてちょっと歩くだけで春蝉の抜け殻がいくつも足元に落ちている

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 「あぁほんまや。この子らが鳴いてるねんなぁ、小さいなぁ」

春蝉しぐれの森を大蛇嵓に向かって歩く

 「・・・やしなぁ、お父ちゃんかて・・・・・な?・・・・・やねんな・・・・、思うやろ?」

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前を歩くヨメさんが振り向き振り向き、話しかけてくるけど
頭の上から響いては落ちてくる春蝉しぐれに、その声は途切れ途切れ
森を抜けると大蛇嵓からは昨日の雨を大きく落とす西ノ滝と西大台のテーブルランドが見渡せられる
この風景は、今の時期、夏を迎える直前が最も美しいと思うのは私だけだろうか

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 「だから・・・な?あのハナシが落ち着いたらな?・・・いつになるかなぁ、いつやろか・・・・。」

途切れて聞こえなかった言葉の続き、聞こえなくとも、その先に言おうとしていることは分かる
シャクナゲの梢、雨上がりの凛とした大台の空気が微かに揺れているから

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 「お父ちゃん、上州の山歩きたいんやったら・・・・・・し、私かて・・・・・やろし。友達、、、、、探すし。」

姫春蝉の気配が突然消えると耳が痛いほどの沈黙、そこへフェードインして来るシオカラ谷の沢音
その先の言葉、どんな返事を返せばいいのだろう

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 「な?ええやんな?、上州行っても。私。」

山ガールたちがはしゃぐ河原を見下ろしながら吊り橋を渡る
胸突き八丁の石段を登りきる
いつの間にか消えた沢音、また騒ぎ始めた姫春蝉たち
その鳴り止まぬ声に返事もかき消されて

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滴る新緑
湧きあがる雲
足元に広がる海原
雨上がりの夏の空に消えた言葉
いつまでも耳に響く姫春蝉の鳴き声

ふたつ目の夏が、ここ大台ヶ原から始まった
 
by slow-trek | 2013-07-17 00:11 | 近畿[台高山系] | Trackback | Comments(16)
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Commented by non-T at 2013-07-17 12:36 x
えッ?
なにわの織姫、彦星さまは
近々、愛の巣を上州に移すってこと?
もしそうなら、侘しくも自由な一人暮らし
は終わり?
今後のブログは上州編第2弾でタイトル
変わりそうですね。
Commented by yako at 2013-07-17 17:43 x
推して測るに、そういうことだな
大台ケ原がきらきらとまぶしいのはお天気のせいではなく
もったいぶってますが、そうゆうこった
一緒にいるのが一番だと思います
楽しいことは何倍にも楽しくなります
何だかこちらまで嬉しい気持ちになりますぜ。
Commented by 橿原 太郎 at 2013-07-17 21:42 x
ブログはちょこちょこ拝見しているのですが、コメントはご無沙汰です。
快晴の大台ケ原はこれからのお二人の気持ちを表しているみたいですね。ここはスロトレさんにとって原点の山歩きの場所ですね。
私も久しぶりに行きたくなりました。
Commented by pallet-sorairo at 2013-07-17 22:29
>「・・・やしなぁ、お父ちゃんかて・・・・・な?・・・・・やねんな・・・・、思うやろ?」
そうそう、私もそう思う。それがいいよ。
…って、私が返事することじゃないけど(^^ゞ
でも、そうすると『荒野』はないよね?
どうするかなあ。
Commented by katsu♨ at 2013-07-17 22:37 x
わたとざpart.2は近いようですな♪

え?「わたとざ」ってなんやねんって?
そら橋田はんの「渡鬼(わたおに)」的短縮法ですやんか(汗
「私を登山に連れてってpart.2」の僕的短縮ですねん(笑

それよりなにより!
10mmロープより遥かに太く強力な赤い糸が見えたような一行ですな♪
チョー浪速な夫婦が上州で織りなすてんやわんや夫婦漫才入山日記☆
楽しみにしております!!
Commented by たかっさん at 2013-07-18 21:15 x
>お父ちゃん、上州の山歩きたいんやったら・・・・・
お久しぶりです。やっぱり奥さんと一緒が何より一番やないですか!
上州夫婦漫才レポ楽しみにしていますよ!
Commented by dahan at 2013-07-21 00:00 x
あ、ええですやんか!オイラもわたとざpart.2楽しみにしてまっす!
Commented by slow-trek at 2013-07-21 23:38
のんさま

>もしそうなら、侘しくも自由な一人暮らしは終わり?

いえいえ、そうなるには高い高いハードルを三つほど
乗り越えなければならなくてですね・・・
ま、それでも行くよ、とのヨメさん的決意表明ですね
なので、まだまだ侘しくも自由な一人暮らしは満喫?しますよん^^
Commented by slow-trek at 2013-07-21 23:39
yakoさん

>何だかこちらまで嬉しい気持ちになりますぜ。

あぁ、思わせぶりな書き方になりました、ごめんなさい
ヨメさんが大阪を離れるには、まだまだ壁があるのです
ま、今回は決意を伝えたかっただけかと。
大台ヶ原が眩しかったのは新緑のおかげですよ^^
Commented by slow-trek at 2013-07-21 23:40
橿原 太郎さん

はい、ここは私の、いえ、我が家の原点の山です
大事にしておきたい場所の一つです
橿原太郎さんも、ぜひ歩かれてください
真夏に涼みに行くのもオツですね^^
Commented by slow-trek at 2013-07-21 23:41
palletさん

>…って、私が返事することじゃないけど(^^ゞ

ふふっ、声出して笑っちゃいました
ヨメさんの決意表明は受けました、でも実現するには
いろんな壁があってですね、まだまだ荒野に一人で生きてく
そんな暮らしが続きますのでご安心?下さいね^^;
Commented by slow-trek at 2013-07-21 23:42
katsu♨さん

わたとざってw
人んちを連続ドラマと一緒にしないでくださいって!

>チョー浪速な夫婦が上州で織りなすてんやわんや夫婦漫才入山日記

あかん、これ ↑ ウケました
わたとざ、復活した際にはサブタイトルに入れますね
って、ほんまかいな^^;
Commented by slow-trek at 2013-07-21 23:43
たかっさん

>上州夫婦漫才レポ楽しみにしていますよ!

だぁ、かぁ、らぁーっ
漫才ち、が、うって^^
Commented by slow-trek at 2013-07-21 23:44
dahanさん

>オイラもわたとざpart.2楽しみにしてまっす!

だぁ、かぁ、らぁーっ
わたとざ、ち、が、うって^^
ったく、皆してもうもうっw
Commented by ゆな at 2013-07-22 22:15 x
わー( ´ ▽ ` )ノ奥様と暮らせるかもなんですか!
愛されてますね(^ー^)ノ
壁を乗り越えられたらいいですねぇ♪
Commented by slow-trek at 2013-07-24 16:46 x
ゆなさん
>壁を乗り越えられたらいいですねぇ♪
ありがとう!
壁が無くなるころには、山歩き出来ない歳になってなければ
いいのですが~、って、冗談ですよ、ありがとうね
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山行記録と山にまつわる物語


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