荒野にて

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雪の上高地 穂高はそこにある

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■山行日:2013年03月02日(土)
■山:上高地
■目的:聖地スノーハイク
■メンバー:2名
ルート:釜トンネル(08:20-09:05)-大正池(09:40)
     BT(11:00-11:30)-河童橋(11:40-12:00)-BT-釜トンネル(13:50-14:30)
 
オフシーズンは、マラソン7:登山3、オンシーズンはスキー7:マラソン3
そんなタフなF女史が最近BCスキーに目覚め、ハイクアップ用にと、スノーシューを購入した
そのブキのトライアルを兼ねてスノーハイクに連れてってと、お願いされていたのだが

F:例の件今週はどうですか?
私:今週はごめんなさい、一人でこそっと上高地行こうと思ってます
F:上高地!?そこ!そこでいいです、いや、連れてって下さい上高地!

てなことで、スノーシューデビューなF女史と二人の上高地行となった
 



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F女史と待ち合わせていた沢渡BTで合流すると、ちょうど空車のタクシーが現れた
釜トンネルまで¥2,500で行ってくれるとのことで慌てて準備をして乗り込む

「ここでマイナス4度だ。そーだなぁー、上はマイナス・・・8度だな?気を付けて!」

釜トンネル入口でドライバーのおじいさんに見送られると、寒さと曇天とでモチベは下りっぱなし
しぶしぶとヘッ電を灯火して歩き始める
トンネル内は意外と暖かい、なんて聞いていたのは全くのウソ
内部をゴウゴウと吹き通る風が冷たいの何の、震えながらのトンネルハイクは45分

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そしてトンネルを抜けると、そこは思ったよりも暖かく感じられる林道だ
きっとトンネルを通り抜ける風がないぶん寒さはマシなのだろう

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工事や、搬入用車両が乗り入れるため、林道はきちんと圧雪されている
初めて見る冬の上高地、どこにでもある雪山の麓の姿に、ちょっとがっかり

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30分も歩くと大正池が現れる
いくら目を凝らしても穂高はその影さえ見えない

「Sさん残念ね、穂高。でも河童橋までに晴れるかもしれないわよ」

穂高は見えるのだろうか?F女史のささやきに答える気力も無く・・・

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大正池の入口のカーブは吹き溜まりの山になってて、電線が膝上くらいの位置にある
その電線に触れないよう、雪の小山をかけおりる、と突然風が強くなり雪は横から吹き付けるようになった

「そろそろスノーシュー・・・履きますよね?」

穂高は見えない、風は冷たい、雪は横から振り付ける、と安全にモチベダウンな私とは正反対
ワクワクした表情でスノーシューを着けF女史は先を歩き始めた

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穂高は見えるのだろうか?

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空はときおり明るくなるけど、BTに着くころにはどんよりと暗い雪雲が視界全体に広がった
皮肉なことに、雪に閉ざされた上高地を感じたのは、このBTだ

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オンシーズンにはバスとタクシーで埋め尽くされる広い駐車場
その周りを囲む針葉樹林
いつも喧噪が途切れることのないターミナル
全てが雪に、冬に埋もれていた

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ここまで歩いたときに感じていたものとは、まったく違った寒さに全身が包まれる
ターミナル屋根の下で、ムリして賑やかを装って騒ぐ若者たちもガクガク震えている
あまりの寒さに、無理して出した大声が会話にならなず、お互い怒鳴りあう彼らの横を通り抜ける

壁に取り付けられた温度計、マイナス11度

穂高は?穂高は見えるのだろうか?

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ターミナルを抜けると、梓川沿いを歩く

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前方の五千尺ホテル前のトイレは完全に雪に埋もれている
風に煽られて足元の雪が舞い上がり、一瞬のホワイトアウトにF女史の歓声が上がる

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河童橋に佇むが、もちろん穂高は見えない

「ふふっ、Sさん、その姿、まるで見えてるみたいね穂高」

F女史の言葉に苦笑いで応える
河童橋を渡るとホテル白樺荘前に立つ

「Fさん、ここに立つとね、西穂からジャンダルム、そして奥穂まできれいに見渡せるんですよね。」

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あきらめきれず立ち尽くすけれど、寒さに耐えきれなくなる

「見えないけど・・・そこにあるんでしょ?穂高はそこにあるんでしょ?」
「・・・そうです。穂高はそこにあります、はい」

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橋を渡って来たカップルが、そんな二人の会話に、穂高方向を仰ぎ見ると
フェイスマスクで表情は伺えないけれど私たちに向かって笑顔で頷いてくれた

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ターミナルから離れるにつれ、寒さが緩み
F女史のスノーシュー捌きもスムーズになって行く

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何も見えかなかった冬の上高地
その白く閉ざされた世界は、何も見えかなったからこそ逆に惹き込まれてしまった

見えなくてもいいさ

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見えなくとも
穂高はそこにあるから
 
by slow-trek | 2013-03-28 00:44 | 北アルプス | Trackback | Comments(0)
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