荒野にて

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朝焼け燃ゆる五竜岳 八方尾根から遠見尾根(後)

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音もなく流れ落ちて行く星たち
あの星はいつ落ちたものなだろう
あの星はどこへ流れて行くのだろ
あの星が流れる瞬間を、どこかで誰かも観ていただろうか

怖いほど美しい星たちの姿に、そんなことを想いながらウィスキーを舐めてる間に
東の方が薄らと明るくなってきた
もう今日は下るだけだ

さぁ下界へ返る準備をしよう
初めてのルートである遠見尾根
その素敵なネーミングの尾根を下ろう 



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両側のテントとの距離は左右それぞれ10cm、前のテントとは15cm
この状況で雨でズブ濡れの重いテントを撤収するのに非常に苦労する
そんな格闘してるテン泊者たちを嘲笑うように、6畳14名の小屋泊者たちは
どんどんと五竜へとりついて行く
やっと撤収出来たころ、朝焼けのオープニングとともに姿を見せた五竜には
すでにヘッ電の行列がピークあたりまで蠢いている
その姿を見て、今日の下山は正解だったろう、と安心した

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出発前に小屋前から朝焼けを一目見ようとして、わらわら集まった人ごみを抜け
一人、黙々と唐松方向へ登り返す私を、皆さん不思議そうに見ている
急ごう、白岳だ、あのピークに居座って朝焼けを一人占めするのだ

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ほんの数分でピークへたどり着くと、もう山荘の喧噪は届かない
そして目の前には雲海が紅く広がる

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この素晴らしいショーを独り占め出来た満足感に浸りながら
コーヒーを沸かしていると人の気配

そうか、私と同じように遠見尾根から下山する人もいるんだ
振り返ると、まだお若いカップル

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おはようございます、今日はもう下山?

私の声に、振り向きざま彼氏の脇腹に手刀を叩き込む彼女

『 ほらっ!こっちは下山やんか!言うたやん向こうやろって!』

・・・関西弁、しかもイキのいい関西弁。懐かしいなぁ。どうやら唐松へ縦走するお二人
彼氏のナビゲーションミスで、遠見尾根に来たワケだ

まぁ、いーじゃない、すぐ戻れるし、ご来光もよく見えるし、ほら富士山も

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そんな私の誘いに腰を下ろしたカップルから聞こえてくる会話
その主導権は全て彼女、どうやら彼氏は山ビギナーの様子
そんな二人の会話が微笑ましくて、関西弁が懐かしくて、声をかけたくなった

もしかして大阪?大峰とか歩いてる?今日はどこまで?

でも、止めておいた、こんな素敵なシーンに割り込むほど私は無粋なオヤジではない

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『 あのぉ・・・すみません、あの富士山の左のギザギザ、あれは八ツヶ岳ですよね?』
あぁ、そうそう八つですよ、合ってますよ

私の返事に再び彼女の手刀が彼氏を襲う
『 ほら、みてみっ!ウソばっか言うねんからぁ 』

ふふっ、いいなぁ、微笑ましいなぁ、どんな関係か分からないけど
二人の山を重ねて欲しいな、そしていつか、今日のこの素晴らしい雲海を思い出して欲しいな

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そんなカップルがお礼を告げながら縦走路に戻って行くと同時に、五竜が朝焼けに燃えはじめた
あぁ、このシーン見てからでも遅くなかったのになぁ、可愛そうなことしたなぁ

どんどん燃えて行く五竜の山肌に見とれながら、ちょっとだけ寂しくなる

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さ、もういいだろう下ろう
トレイルは、いきなり岩場と鎖場の激下りとなり、朝方の寒さも消え去るほど汗をかく
二か所ほど、そんな山場を越えると、小ピークのアップダウンが続く

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尾根を下りながらも、視線はずっと南の方向、雲海の残りと五竜、そして鹿島槍
これで、北方向を埋める朝のガスが消えると、どんなに素晴らしいだろうか

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ダケカンバに挟まれたトレイルを軽くアップダウンしながら下ってゆくと
そこに突然、小さな池が現れた、西遠見池と記されている
その池には逆さに五竜が・・・

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逆さ五竜の姿にうっとりし、小休憩すると中遠見山への登り返しだ
尾根が北へ進む辺り、まるでマジックのように北方向のガスが一気に流れた
と、今まで隠れてた白馬三山が、すーっと現れる
なんてドラマティックなシーンだろうか
そして、この遠見尾根、なんと贅沢な展望ルートだろうか

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そこからアルプス平へ下りきるまでの間は鹿島方向がガスで隠れたけれど
ずっと白馬三山を眺めながらの下山
知らぬ間に浮かぶ笑みも隠せなくて
三日間の縦走が幻と消えたことも忘れ、一人笑いながら下った

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下山後、大阪の山友からのメールには、この日天狗岳から五竜山荘へ下る途中から大雨
山荘ではテン場も大混雑、おまけに翌朝も雨が残り
結局は縦走をあきらめて遠見尾根から下山に予定変更したと記されていた
by slow-trek | 2012-10-10 00:22 | 北アルプス | Trackback | Comments(8)
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Commented by まろん at 2012-10-10 19:56 x
逆さ五竜☆
すごい!こんなキレイに見えるんだ!
写真こっそり逆さまにしてもわかんないくらいくっきり!*\(^o^)/*
すごいね☆

slow-trekさんのブログはいつも小説みたいで読んでいてひきこまれるー。(o^^o)

Commented by acco__s at 2012-10-10 22:39
はじめまして♪
水面にだけ山が映った写真、めちゃめちゃかっこいいですね!
まだこちら方面は行った事がないので、来年計画立ててみようと思っています^^
Commented by かもしか at 2012-10-11 17:56 x
唐松・五竜いいですよね。
昨年白馬大雪渓~扇沢歩いた時にまた行きたいと思いました。遠見尾根ルートの景色もいいですね。
山って、どこを切っても切っても、絵になって素敵すぎ(^ё^)こんなん見るから、歩くの止められないですね。
Commented by リツコ at 2012-10-11 19:39 x
お独りで行かれたのですか?
≪なんで、連れて行ってくれへんかったん? ヽ( )`ε´( )ノ≫
って、奥さんに怒られませんか?(笑)

大阪弁のカップルの彼女に会って、
奥さんが恋しくなったでしょ❤(ツンツン) 
Commented by slow-trek at 2012-10-13 23:56
まろんさん

逆さ五竜ね、ここって池と言うよりか池塘のようで
いつもは、こんなに水はないようです
この日は前日の夕方から23時くらいまで土砂降りだったので
その水があったからの映り込みみたいですね
ラッキーでした^^
Commented by slow-trek at 2012-10-13 23:58
acco__sさん

おー、山を歩かれるのですね
ここはお勧めです、私も初のルートでしたけど
特に、遠見尾根、この尾根は素晴らしい
紅葉、初冬にも行きたいと思ってます
ぜひ!
コメントありがとうございます
Commented by slow-trek at 2012-10-14 00:00
かもしかさん

>昨年白馬大雪渓~扇沢歩いた時にまた行きたいと思いました

かもしかさん、歩いたもんねー
凄いよねー
でも、そのルート走破すると、遠見尾根って・・・
なかなか、そこだけって歩きにくいですね^^;
ま、山友のプランに乗っかるとかね
ぜひぜひ
Commented by slow-trek at 2012-10-14 00:03
リツコさん

大阪の女やさかぃ♪

こんなルート、ヨメさん連れて行けるワケないじゃないですか
きっと八方池で、もうここでエエわ~、で終わりです^^;

>奥さんが恋しくなったでしょ❤(ツンツン

きっと世間一般の単身赴任家庭よりか頻繁に顔合わせます
幸か不幸か(?)なので、さすがに恋しいはないなぁ~、はい^^
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